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安倍晋三首相の秘書官が佐川氏に渡したメモ
「もっと強気で行け。PMより」

『文藝春秋』2018年5月号

「PM」とは「プライムミニスター(首相)」、即ち安倍首相を指す官僚たちの略語である。当時、佐川氏が国会で野党の質問攻めに遭っていたが、安倍首相が佐川氏を激励するためにメモをまわしたものとされている。また、このメモは冷え切っていた首相官邸と財務省の関係が森友問題を契機に強固なものに変わっていった象徴でもある。

赤木さんが批判した財務官僚たちは……

佐川宣寿 前理財局長
「忖度ってのはすいませんちょっと、どういう意味でございましょうか」

朝日新聞デジタル 2018年3月9日

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 安倍首相の「首相も国会議員も辞める」発言の前後、「忖度」という言葉が注目を集めた。渦中の籠池泰典氏も「安倍首相または夫人の意志を忖度して動いたのではないかと思っています」と発言している(ハフポスト 2017年3月15日)。

佐川宣寿氏 ©AFLO

 2018年3月、赤木さんが自殺した2日後、佐川氏は国税庁長官を辞任した。このときだけぶら下がり取材に応じた佐川氏は、「国会答弁や文書管理で、政治への忖度はあったのか」と問われたが、このように記者に逆質問。最後まで「強気」を貫き通した。この日以降、佐川氏は公の場に出ていない。

 なお、赤木さんが手記で名前をあげて批判した6人の財務官僚は、佐川氏、近畿財務局長だった美並義人氏をはじめとしてほとんどが「栄転」を果たしていたことが明らかになっている(日刊ゲンダイ 3月23日)。

自殺の2日後、麻生氏は笑っていた

麻生太郎 副総理兼財務相
「えっへっへっへっへ。いいですか、終わります」

朝日新聞デジタル 2018年3月9日

麻生太郎 ©文藝春秋

 こちらも赤木さんが自殺した2日後、佐川氏の取材とほぼ同時刻に行われていた麻生財務相の記者会見での発言。

「結果として(決裁文書の)書き換えがあり、(財務省が)組織的にやったと明らかになった時は、ご自身の進退も含めて考えるか」と問われたが、「仮定の質問には答えられない。何度も言ってんじゃん」と切り返し、笑って会見を切り上げた。