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森友問題「再調査するつもりはない」“自殺職員”の手記とも向き合わない安倍・麻生の見苦しさ

あなたたちが語る「事実」とは何なのか?

2020/03/28
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麻生太郎 副総理兼財務相
「佐川の(国会での)答弁と決裁文書の間に齟齬があった、誤解を招くということで佐川の答弁に合わせて書き換えられたのが事実だと思います」

ハフポスト 2018年3月12日

 3日後の12日、麻生財務相が14件の文書に改ざん(当時は「書き換え」と表現)があったことを発表。麻生氏は改ざんが行われた理由について、佐川氏が森友学園との面会記録を「破棄している」、「価格を提示したこともない」などと国会で発言しており、それらの発言と矛盾しないように改ざんしたと説明した。

 改ざんの責任者についても、「佐川が理財局長だったから、その意味で理財局長となろうと思う」と述べた。6月4日に調査報告書が公表された際、佐川氏には退職金減額500万円の処分が下っている。

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新たな「事実」を無視することはできない

安倍晋三 首相
「総理を守るために佐川さんが指示をした。そういう事実は全く認められていない」

ハフポスト 3月23日

©AFLO

 2018年6月に公表された調査報告書によると、佐川氏が交渉記録の廃棄や公文書改ざんの方向性を決定したのは、国会審議の紛糾を回避するため(さらなる質問につながる材料を少なくするため)だったとされている。3月23日の参院予算委員会で安倍首相は調査報告書に書かれていた内容を繰り返し、自身の関与を全面的に否定した。

 佐川氏が忖度して指示を出したとしても、その証拠が残っていなければ安倍首相は「事実」とは認めないだろう。だが、安倍首相の発言を契機に、佐川氏が国会で強硬な発言を繰り返すようになったのは事実だ。近畿財務局での公文書の改ざんが始まったのも事実。その上、手記によって佐川氏がすべて指示を出していたことなど、新しい事実も明らかになった。

 安倍首相と麻生財務相が引き合いに出している財務省の調査報告書には、「今後、新たな事実関係が明らかになるような場合には、更に必要な対応を行っていくこととなる」と記されている。ならば、新たな事実をもとに、これまで明らかになっていなかった「事実」についてあらためて調査するしかあるまい。

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