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調査報告書と読み比べてみれば一目瞭然

 2018年6月4日に発表された財務省の調査報告書によると、「特例申請」と「特例承認」文書の改ざんの経緯について、佐川理財局長は文書の位置付けなどを十分に把握しないまま、政治家関係者からの照会状況についての記載がある文書を外に出すべきではなく、最低限の記載とすべきと反応。それ以上の具体的な指示はなかったとある。

 赤木さんの手記では、佐川氏が森友学園に関する資料(応接記録)はできるだけ開示しないこと、開示するタイミングもできるだけ後送りするよう指示したことが明らかにされている。

籠池泰典氏 ©AFLO

 決裁文書の改ざんについては、「局長の指示の内容は、野党に資料を示した際、学園に厚遇したと取られる疑いの箇所はすべて修正するよう指示があったと聞きました」とより具体的に記されていた。

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「すべて、佐川理財局長の指示です」とは、まぎれもない新事実だ。その他にも新事実は多い。調査報告書と手記を読み比べてみれば一目瞭然である。

“上意下達のパワハラ体質”が自殺の原因?

麻生太郎 副総理兼財務相
「まだ読んでいませんからわかりませんが」

テレ東NEWS 3月19日

 各メディアではカットされていたが、会見をノーカットで報じたテレ東NEWSの映像を見ると、麻生財務相は手記をまだ読んでいないとはっきり発言していた。ならば、なぜ手記と調査報告書の内容に大きな乖離がないと言い切れるのだろうか。最初から結論ありきで話しているように見える。

麻生太郎 副総理兼財務相
「(赤木さんの自殺は)役所内の風土(が原因だ)と結論付けている」

共同通信 3月19日

麻生太郎財務相 ©文藝春秋

 同じ会見で赤木さんの自殺について問われた麻生財務相は、こう説明した。財務省の「風土」とは、「軍隊的な上意下達のパワハラ体質」のこと。省内にはパワハラ上司をランキングした「恐竜番付」というペーパーが出回っており、佐川氏はその常連だった。赤木さんの手記にも「佐川理財局長(パワハラ官僚)」と記されている。

 麻生氏の発言を聞いた赤木さんの妻は、「組織の風土が原因なら、麻生さんの責任だと思います」「風土はまったく良くなっていません。このままだと、また死人が出ると思います」と語っている(大阪日日新聞 3月20日)。