アメリカの惨状を反面教師に、日本はどうすべきか
かたや、アメリカでは中国以上の感染者を出してしまい、米中の間で「おまえのせいだ」「いや、貴様が悪い」と口喧嘩が始まりました。世界で協調して新型コロナウイルス対策を打ち出そうというところで、アメリカがウイルスの名称を「武漢ウイルス」と定めることにこだわったのでG7外相会議での共同声明が打ち出せないとか素敵事案まで発生しました。
トランプさん、ご自慢の株価上昇を中国発のコロナウイルスに足元をすくわれておかんむりでしたが、習近平さんと電話会談してカネでももらえる話になったのか、一気に矛を収めるあたりもトランプ流です。200兆円クラスという途方もない経済対策を発表したものの、どこまでコロナ禍が経済を破壊するかは分かりません。大恐慌以来の失業者が大量発生したアメリカの惨状を見ると、まだ感染者は少ない日本はどうするべきなのか、悩みは深くなります。
それもこれも、新型コロナに感染するリスクがだんだんはっきりしてきて、当初言われていたような「インフルエンザのちょっと酷い版程度のもの」という楽観論が吹き飛び、世界で大量の感染者、悲しいぐらいに急増する死者、それに対応する社会の脆弱さ、政治が果たすべき役割の大変さ、そして都市封鎖その他、経済面で発生する大きなダメージに対する恐怖……。これらが一気に楽観視していた時代を不自由なものに変えてしまったんですよね。
自粛に次ぐ自粛で消費は回らず、五輪も延期
コロナ対策で花見は自粛、ナイトクラブも自粛、コミックマーケットも自粛、週末の宴会も禁じられ、さらには屋外のバーベキューも大混雑につき中止を求めるとなると、文化的な社会生活をしながら消費を回していこうにもどうにもなりません。
そして、長らくすったもんだした東京オリンピック問題、開催に向けてのIOCや各国の綺麗ごとは全部吹き飛び、急転直下で1年延期で落着しそうな流れになりました。東京オリンピックの経済効果は2030年までに32兆円という勇ましい数字とは裏腹に、目の前のコロナウイルスで50兆円規模の具体的な損失が日本経済を直撃して五輪どころではなくなってしまいました。