「東京カリ~番長」あらため「カレースター」水野仁輔さんと、「音楽界のカレー王」ホフディランの小宮山雄飛さん。『いちばんおいしい家カレーをつくる』(水野さん)、『簡単!ヘルシー!まいにちカレー』(小宮山さん)と、それぞれ力のこもったカレー本を書き上げたふたりが、カレー遍歴から現在の注目店まで語り尽くした、すみからすみまでカレーの話第3回!(#2より続く)
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カレーから気をそらせるための「福神漬け作戦」
小宮山 この『簡単! ヘルシー! まいにちカレー』の中でいろんなものを作ってるんだけど、実はこの中で福神漬けが一番おいしいと思ってて。なんでかっていうと、福神漬けのレシピなんてカレーのレシピ本の中に普通、入れないじゃん。
水野 確かにね。
小宮山 インドというか、ちゃんとしたほうに行けば行くほど福神漬けなんか作らないし、簡単なほうに行けば行くほど、福神漬けなんか買ってくるから、誰も福神漬けなんか作らないんですよ。で、今回副菜をいろいろと考えた時、福神漬けを作ってみたら、ポリポリしててフレッシュで、すごくうまいの。簡単に言えば浅漬けなんだけど、「福神漬けを作りました」って出すと、みんなびっくりするわけ。「エッ、こんなおいしい福神漬けがあるの?」って。で、そうか、ビジネスってこういうことか、と(笑)。
水野 カレー王国の福神漬けを商品化する。それいいかもね。
小宮山 一つエピソードを思い出して。『美味しんぼ』で老舗の天ぷら屋を継いだ2代目が作った天ぷらが客から味が落ちたと言われていた時、山岡さんのアイデアで、2代目においしいぬか漬けを漬けさせるんです。で、天ぷらの前に、それを客に食べさせることで、それまでの親父さんの印象がなくなって二代目の天ぷらがおいしく感じられる、という。そこで、僕は福神漬けなんです。
水野 なるほど。
小宮山 水野君がおいしいカレーを作った後に、一瞬僕の福神漬けで「うわぁ」ってさせてから、「どうぞ」って僕のカレーを出すと、「なんだこれは!」ってなるんじゃないかと(笑)。
水野 そしてみんな帰った後、福神漬けだけが印象に残ってる。「福神漬けうまかったな」みたいな。