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保育の現場は女と女の戦いです
本書の後半は、国の打ち出す“子育て支援”のあり方に疑問を呈する内容が俄然増える。
「こども園を始めたら大変で、愚痴をこぼしたくなったんです(笑)。日本の子育て支援は働く女性の子育てを社会が肩代わりしましょう、というもので、うちも夜7時まで預かりますが、こんな長時間保育を許している国は他にありませんよ。毎晩お迎えに遅れるお母さんがいて、保育士がとうとう“わたしにも子供がいます”と抗議した。現場では女と女の戦いです。また、専業主婦への風当たりの強い昨今ですが、保育者の立場から見れば、彼女たちは、社会の支援に頼らずに自分の手で自分の子供を育てる“自立した”存在とも言えます」
こども園を運営するフェミニストの論客。その知見が盛り込まれた次作も待たれる。
「すっかりこども園事務長のアタマになってしまいましたが(笑)、今、園長は人にお願いしていますし、給与計算など人に任せられるところは任せるようにして、そろそろ評論活動を再開したいですね」
おぐらちかこ/1952年、大阪府生まれ。早稲田大学大学院文学研究科心理学専攻博士課程修了。『ザ・フェミニズム』(上野千鶴子との共著)、『「赤毛のアン」の秘密』など著書多数。