効力があると言われる「アビガン」は服用したのか
現在、新型コロナウイルス治療に効力があると言われる日本生まれの薬「アビガン」。正式には「ファビピラビル」と呼ばれ、これまでは新型インフルエンザの治療薬として承認されてきた。
先日の緊急事態宣言発令の際の会見で、安倍晋三首相も「既に120例を超える投与が行われ、症状改善に効果が出ているとの報告も受けている。使用をできる限り拡大していく考えで、そのためにアビガンの備蓄量を現在の3倍、200万人分まで拡大する」と明言していた。
この120例超の中に、要職者である田嶋氏も含まれているのではないか。率直にアビガンの使用を田嶋氏に尋ねると、「ごめんなさい、どんな薬を使ってきたかはわからないというか、申し上げられないです」と口を濁した。ただ、あらゆる薬をテストした結果、回復した自らの経験をもとに、田嶋氏はこう続けた。
「感染症の先生や疫学専門の方々がたくさんの治験やデータを集めていらっしゃいます。この薬がどのタイミングなら効くのかといった具体的なこともどんどん集まっていると聞きました。実際に日本でも現在はいろんなテストが行われているでしょうし、自分もその対象になっていたのかもしれません。
もちろん副作用を考慮して飲めない方たちへの投与はできませんが、私としては特効薬もワクチンもないこのウイルスに対してどんどんそのような薬を使える状況にしていった方がいいと考えます」
医療従事者は「本当にプロフェッショナルでした」
病院では医療従事者の現状も垣間見てきた。窓も開けられない陰圧な病室に、毎日防護服で全身を覆った医者や看護師がやってくる。彼らは退室ごとにその防護服を全部脱ぎ捨てていく。東京都の対策本部会議の委員で、最近はメディアにも多く出演する国立国際医療研究センター国際感染症センター長の大曲貴夫氏は、あるインタビューで「今は何より従事者の防護具が足りない。これがもっとあれば、さらに大胆な治療ができる」と現状を明かしていた。
まさに、感染リスクと隣り合わせの身を挺した仕事。それでも自分を不安にさせないように接してくれた彼らに、田嶋氏は深く感謝をする。
「本当にプロフェッショナルでした。自分たちも感染する恐怖があるにも関わらず、患者の私に緊張感を出さないように接し、また私が感染していることを意識させないような対応もしていただきました。そんな彼らが疲弊したり、偏見を受けたりするようなことはあってはならないと思いました」
また、自身と濃厚接触者だった妻と高齢の義理の母は、目立った症状がないことからPCR検査を受けることができなかった。
現在世間で叫ばれる、PCR検査増加への是非。これについても、田嶋氏は家族の経験をもとに自らの考えをこう明かした。