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“新型コロナ”から復活 田嶋幸三・サッカー協会会長が語った「18日間の入院生活で感じたこと」

「医療従事者はプロフェッショナルでした」

2020/04/11
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患者として医療現場を見て感じたこと

「私が区の保健所のスタッフに相談した時もかなり細かくヒヤリングを受け、さらにその方が都の保健所とも綿密なコミュニケーションを取った結果、ドクターに診てもらう許可が下されました。その後、入院をして、病院自体がどんどん大変な状況になるのを患者として見ながら思ったのは、もし以前から簡単にPCR検査を増やしていれば、すでにもう病床は埋まっていて医療崩壊が生じてしまっていたかもしれないということです。

 私の家族も検査を受けられませんでしたが、保健所の対応を責めることはできません。皆さんが本当に冷静に奮闘していることは、的確な対応を見て感じられました。家族は症状がないのでしっかり自宅隔離で行動自粛をしてくださいという説明を受けていましたし、このようなことを経験した立場としても、やはり今の日本では検査を増やし過ぎなかったことが(医療崩壊に対する)一つの防波堤になっていると感じました。

 今、亡くなった方が100人を超えて本当に残念ですが、他の国に比べてここまで少ない現状は、私は日本のこのやり方が必ずしも間違ってはいなかったということだと思います。もちろん陽性者を宿泊施設に移すようになってきたここからは、(検査状況も)また変化していくことになるかもしれませんが」

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©文藝春秋

医療従事者を励ますムーブメントを

 人類が未知の病気に罹った者が、実際に見て、感じてきたこと。JFAは現在、ヨーロッパなどで隔離生活を余儀なくされている日本代表選手たちを中心に、最前線で働く医療従事者などへの感謝と労いを示すべく、夜8時になると拍手を送るという行動の輪を広げている。

「みんながこの状況下でその場、その場で頑張っています。そういう人達に対して感謝の思いを伝えたい。例えばヨーロッパでは医療従事者に向けて拍手したり讃えたりするような行動がありますが、そういうムーブメントが日本にはまだ少ないような気がします。ぜひ我々スポーツ界も、最前線で奮闘している医療従事者や患者の皆さんを励ますことをしていきたいです」

 あらゆる意見が飛び交うコロナ問題。答えを定めるには厳しく難しい現状だが、実体験のある人の言葉は耳を傾ける価値がある。

“新型コロナ”から復活 田嶋幸三・サッカー協会会長が語った「18日間の入院生活で感じたこと」

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