稲城市――日本最初の専門メカニックデザイナーの出身地
稲城市は5種類を1枚ずつ設置した。モニュメントキャラクター化していく観光資源系デザインマンホール蓋らしい設置の仕方だ。展示蓋というのもあるが、ここでは省く。
メカニックデザイナー大河原邦男プロジェクトの一環として設置されている。出身地が稲城市の大河原邦男を資源としたプロジェクトだ。すでにイベントを開催したり作品を設置するなど様々な事業をしている。大河原邦男と言っても分からない人にはまったく分からないかもしれない。アニメーション作品における日本最初の専門メカニックデザイナーと言われている。ガンダムをデザインした人だ。
筆者が中学生の時、メカデザインは大河原邦男派か永野護派かで争ったものである。永野護はアニメ「エルガイム」のメカニックデザインをしている。動くとカッコイイ大河原邦男、止まっているとカッコイイ永野護という解釈が我が中学校での定説だった。大河原邦男プロジェクトとか言われるとキュンキュンしちゃうのである。
1979年に放送開始したアニメ「機動戦士ガンダム」のガンダムだ。蓋のフチに文字を入れたり、地紋にもこだわっている。これぞ鋳物の蓋の本領発揮だ。メカメカしたデザインと鋳物の硬質な質感の相性がたまらない。鋳物の凸が斜めからの光に反射する様など重厚感にノックダウンさせられそうだ。みっしりと詰まったカラー樹脂が張り詰めるような緊張感で作品をひきたてている。かっこいい。
1977年に放送開始したアニメ「ヤッターマン」に登場するヤッターマンだ。配色がアニメと異なる。顔と胸の灰色はアニメでは白色だ。メカらしさを演出するためかもしれない。にくい演出だ。灰色にしてコントラストを抑えることでより金属質な印象をあたえている。カラー樹脂の重みが刺さる。緩急のある鋳物の凸のラインはメカの精緻さと重厚感を増してゆるぎない存在感を放っている。全面鋳物デザインで製作してくれて本当に良かった。大満足だ。
1993年に放送開始したアニメ「疾風!アイアンリーガー」に登場するマグナムエースだ。自立思考型超AIの三頭身ロボットによる熱血スポーツロボットアニメである。稲城市の蓋は全てバストアップで製作されているので、この蓋のデザインからは三頭身の特徴的なスタイルは分からない。逆にバストアップにする事で三頭身のもつ、かわいらしさよりもロボットらしさを強調する事に成功している。シャープな鋳物の凸の線と鋳肌の冴えにより知能を持つロボットの哀愁が加速する。
1983年に放送開始されたアニメ「装甲騎兵ボトムズ」に登場するスコープドッグだ。この蓋は時がたつほどに魅力が増すんじゃないか。経年や風雪によってキズがついたり汚れがついた時に、メカが作品の舞台で酷使され汚れているような風合いに近づくだろうと妄想している。鋳物がそれなりに劣化するのもたまらない。贅沢な演出になるはずだ。
プラモデルには「汚し塗装」といって意図的に汚して物語の風景を再現する手法がある。この蓋は意図的ではなく、年月と通行人によって自然と出てくる味を鑑賞する楽しみがある。来年の今頃、どうなっているだろうか。
2020年3月15日に原寸大スコープドッグのモニュメントが稲城長沼駅前に設置された。稲城市を回遊する楽しさが増えている。
稲城なしのすけは大河原邦彦と井上ジェットによって誕生した梨型メカのキャラクターだ。市の公式イメージキャラクターになっている。ロボット、メカを鋳物蓋で製作すると重量感と説得力が生まれる。鋳物の蓋で製作して本当によかった。すばらしい仕事だ。
マンホールカード配布場所
いなぎ発信基地ペアテラス(稲城市東長沼516-2)
配布時間:10時~19時