「新型コロナウイルスの猛威を受けて東京五輪も延期となり、ついには緊急事態宣言まで発令されましたが、『立皇嗣の礼』の延期決定がぎりぎりまで引き延ばされていたのには、実は理由があると宮内庁周辺では言われています」
ある宮内庁関係者は、こう語る。「立皇嗣の礼」とはもちろん、秋篠宮さまが事実上の皇太子に当たる皇位継承順位第1位の皇嗣になられたことを国の内外に示す儀式。憲法で規定された国事行為として行われ、御代替わりに伴う一連の皇室行事を締めくくるものだ。
どんどん簡素化されていった儀式
「立皇嗣の礼は当初、皇嗣となられたことを秋篠宮さまが自ら国の内外に宣明するメインの立皇嗣宣明の儀と、その後に天皇・皇后両陛下にご挨拶を行う朝見の儀、祝宴に当たる宮中饗宴の儀の3つが執り行われる予定でした。しかし、コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、政府は3月18日、735人前後の賓客を招いて2回に分けて4月21日に行われる予定だった饗宴の儀を中止することを決めました。また同時に、宣明の儀の招待客数も約350人から約50人に減らすことも決めています。
立皇嗣の礼にパレードは設定されていませんでしたが、儀式の参考としている1991年2月の天皇陛下の立太子の礼では、陛下の乗った車が車列を組み、事実上のパレードのようになっており、儀式を終えて当時の赤坂御所に帰られる沿道には約2000人が詰めかけました。
しかし、立皇嗣の礼では秋篠宮さまが宮邸のある赤坂御用地と儀式が行われる皇居を車で往復する際、サイドカーなどを伴う車列を組まずに走行することも、3月30日に決まりました。沿道に集まった人々が感染することを防ぐためです」(同前)
仕方がないこととはいえ、コロナ禍の影響で御代替わりに伴う一連の儀式のフィナーレは、どんどんと簡素化されるという経緯をたどった。政府関係者が話を継ぐ。