新入学や異動に伴って人が動いた4月2日からの1週間の新規感染者はずるずると増え26人。さらに政府の緊急事態宣言直後10人(8日)、18人(9日)、13人(10日)と目に見えて増加のトレンドは急になり、15日には1日あたり最多の23人の感染が確認された。「第2波の危機」として鈴木知事は秋元克広札幌市長と共同で緊急事態を再び宣言し、新学期をスタートしていた札幌市内及び一部近隣の小中高で再び一斉休校に踏み切った。
7都府県からの移動手段を制限する手立てがない
緊急事態宣言を引き金に帰省したり、厳しい自粛を逃れようとするコロナ疎開の流れが生じ、この流れがウィルスを運ぶ――こうしたリスクは、宣言前から懸念されていた。4月が新入学や会社の人事異動の時期でもあるからだ。
鈴木知事自身も会見で「飛行機、JR、フェリーといった陸海空すべての移動で徹底的な注意喚起をしてほしい」(4月1日定例会見)と繰り返し国に求めたのは、入り口である東京や大阪から出ていくところで押しとどめなければ、出口で降り立った人を地方の空港等で迎える時にはもう接触を回避する強い措置が取れないからだ。
しかし、7日の宣言時、安倍首相は「地方に移動するなどの動きは厳に控えて」と述べるのみ。緊急事態宣言の対象となった7都府県からの移動手段を制限する具体的な手立ては取られなかった。
この間、事態は悪化の一途を辿った。
道外から持ち込まれたウィルス
北海道旭川市では、東京都在住の20代の男性と妻が緊急事態宣言前日の6日に同市に帰省した後に次々に陽性と判明。航空機に乗る段階ですでに男性は発熱があり、妻には味覚と嗅覚障害の症状があり、市ではこの事実を確認後、移動に使った航空機の乗客やタクシーの運転手を特定して健康観察を求める事態になった。
また、3月に東京・渋谷のライブハウスに赴いた留萌市に住む40代の女性医療機関職員が4月8日に陽性と判明すると、その後の調査で同居する夫と娘の感染が判った。勤務先の病院は7日から休診になった。
11日になってようやく政府の対策本部で安倍首相は全国的に感染が拡大している事実を認め、接待を伴う夜の飲食については全国で自粛を求めることになった。修正策の当否は別にして、7日の基本方針からわずか4日で事実上、対策の不備を認めたかたちだ。