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延期、中止続出のなか……なぜ「競馬」は開催を続けられるのか

2020/04/19
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コロナ禍で騎手に許可した“特例”

 外部との接触を遮断して不正を防止するため、レース前日から騎手は全員、『調整ルーム』という施設に入室、宿泊することがこれまで義務付けられてきた。施設内にはトレーニングルームやサウナ、食堂まであるが、スマホなど通信機器の使用やインターネット接続は禁止されている。

「それをJRAは今回初めて特例として、希望者が事前申請すれば、自宅や認定ホテルから競馬場に通うことを許可しました。騎手全員が同じところに宿泊していると、ウイルスに一斉感染してしまう恐れがありますからね。そして調整ルームの食堂でも、騎手同士が近づいて食事を取らないよう通達しています」(競馬専門紙記者)

 さらに4月18日からは、競走馬の東西間の移動と、騎手が土曜と日曜とで異なる競馬場へ移動(節内移動)することが原則的に禁止された。

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 騎手や馬はもちろん、感染防止対策は他にも及んでいる。

「馬主というのは自分の馬が走るところを見るのが無上の喜びなんですが、彼らは今、競馬場やトレセンに入ることができません」(同前)

阪神競馬場に多くの観客を集めた2018年の桜花賞 ©AFLO

 報道陣も例外ではない。

「現在、競馬場に入れるのは各社2名までに制限されています。もちろんマスク着用が義務付けられ、騎手に話を聞く際は距離を取り、大人数で一人の相手を取り囲まないようにしています。対面でやり取りする必要がないのであれば、電話インタビューに切り替えたりもしますし」(同前)

 英国ダービーやケンタッキーダービーなど海外のビッグレースが延期、もしくは日程変更を強いられ、欧州では競馬そのものが各国で開催中止となっている中、JRAは春のクラシックシーズンをこのまま大過なく乗り切っていけるのか。

 その動向を、世界の競馬界が注目している。

延期、中止続出のなか……なぜ「競馬」は開催を続けられるのか

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