キャリアを想像する思考法
次のキャリアの出口を考えるためには、日頃から情報を収集する必要があります。僕は、今いる会社の人が辞めた後、どんな会社に転職しているかを把握するようにしています。「○○さんが辞めるらしい」「○○部長が転職活動しているらしい」と聞いたら迷わず食事に誘い、転職活動の状況を聞くのです。
すると、「今は○○業界で、○○ができる人を求めているらしく、ウチの会社よりいい年収が得られそうだ」とか、「○○という会社が新規事業を始めるらしく、ウチの競合になりそうだから話を聞きに行ってみたら、ずっと成長する可能性が高そうだった」など、同じ会社の人がどんな転職活動をしているのか、市場がどういう状況か、どんな人にニーズがあるのかなど、リアルにわかります。
こうした情報を蓄積することで「次に自分が行けそうな会社リスト」を作っていくのです。
ほかにも、転職の面接時に「この会社を辞めた人はどんな会社に転職していますか?」とか、「この会社で活躍している人は、どの企業の出身者が多いですか?」と聞くといいです。もちろん、答えてくれる会社とそうでない会社がありますが、聞いておくことで今の転職活動の「転職した先の出口」まで見えるようになります。
もちろん個人の能力あってのことなので、一概にこの会社に入ったら次はあの会社にいけるということにはなりません。しかし、同じ環境にいた人が「次にいった会社」がわかることで、身につくスキルや、その次のキャリアが想像できるようになります。
最終的には「自分はどうなりたいか」が大切ですが、こうして先回りして出口の選択肢を知っておくことも必要です。どんなことでもそうですが、出口が描いてある地図を持っている人と持っていない人では歩き方が大きく変わります。
どんなサラリーマンであっても、ある程度の「キャリアの地図」は持っておくべきでしょう。
しかし、道の途中で状況が変わることもあります。
「入社当初は出世する選択肢を描いていたけど、自分には政治力がないから、営業のスキルを生かしてほかの会社に転職して役職をつけよう」とか、「営業のスペシャリストで転職を考えていたけど、今の会社で昇進できそうだから部長を目指してみよう」というように、働いているうちに自分の向き不向きや環境要因などで、状況は常に変わっていきます。
なので、決して固執しすぎず、「もしかしたら、ほかの選択肢のほうが自分にとっていいキャリアになるかもしれない」と、迂回ルートも視野に入れながら、地図を修正していけばいいのです。おおよそ2年から3年後の自分を考えていくと、市場価値の高いポジションを目指せるようになっていくと思います。