就職市場が売り手市場といわれて久しいが、自分という「商品」をどう売るかまで考えている人は、案外少数派なのかもしれない。

 転職を決意する理由の大半は現在の職場への不満だろう。職場の風土・人間関係・仕事の内容など不満に思いやすい点には様々なものがあるが、やはり給与・待遇面の改善を求めて転職活動を始めるケースは多い。しかしなんの策もなく転職活動を始めても、結局年収数十万円アップ程度で妥協してしまったり、なんの改善もなく同業他社にスライドするだけで終わってしまったりするものだ。

『転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化させる生き方』(扶桑社)の著者・moto氏が提唱する「軸ずらし」転職は、そのような不毛な転職活動に終止符を打つ考え方である。同書から一部を抜粋し、240万円から1000万円まで年収をアップさせたmoto氏のノウハウを学ぶ。

ADVERTISEMENT

◇◇◇

年収240万円→1000万円を実現した「軸ずらし転職」

 僕はこれまでの転職で大きく年収を上げてきました。ホームセンターから現職であるベンチャー企業まで、4度の転職で年収240万円から1000万円まで上昇させています。

 僕が年収を上げてきた転職方法は、年収の高い業界や職種に軸をずらす「軸ずらし転職」という方法です。

 実は年収というのは、「職種×業界」で大枠が決まっています。もちろん、役職(役員、部長、課長、リーダーなど)や、企業ランクと企業属性(外資系、日系大手、中小、ベンチャーなど)も関わってきますが、大きな要素は「職種×業界」にあります。

©iStock.com

 例えば、「金融業界大手の営業部長→年収1600万円」とか、「小売り業界大手の取締役→年収900万円」という感じです。企業規模や役職より、業界や職種のほうが年収に大きな影響をもたらしています。

 つまり、転職で年収を上げるには「業界」か「職種」のどちらかの軸を「年収の高い業界」または「年収の高い職種」にずらすのが近道なのです。

 特に、業界は年収に大きく影響するので、業界を変える軸ずらしがオススメです。年収レンジの高い業界は、基本的に「動くお金が大きく、かつ利益率が高い」業界が該当します。例えば、商社やコンサル、金融、通信、広告などです。

『転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化させる生き方』

 各業界における平均年収は「業界別平均年収ランキング」などで検索すればすぐにわかります。もう少し踏み込むのであれば、これから伸びる業界や産業についても知っておくといいです。

 これらの知識を入れたうえで、自分の業界や職種経験を活かし、応用できるような「年収レンジの高い業界」を選ぶのです。

 僕は、4度の転職で3回業界の軸を変えたことで、年収240万円から年収1000万円まで年収を伸ばしてきました。

 1社目は小売業界、2、3社目は人材業界、4社目はIT業界、5社目は広告業界と、平均年収の高い業界へ「軸」を移しつつ、営業という職種の軸はそのままに、役職も上げて年収を増やしてきたのです。