金融機関からお金を借りた半分の人は故意に借金を返さない
頭の痛いことに、マン・ツー・マンならともかく、この場合は「返せ」と責めたほうがウリから孤立します。なぜお金で騒ぎを起こすのか。ウリが壊れるではないか。そんな趣旨です。お金を貸した人に「有り難い」と思っている人は、誰もいません。
韓国では、「恥」とは「かくもの」(自分のせい)ではなく、「かかされるもの」(他人のせい)です。
ウリもまた、お金を借りて返さない人のほうが恥ずかしいのではなく、騒ぎを起こしてそれを公論化した人のほうが恥ずかしいと思われてしまいます。だから韓国では「いいものがいい」という言葉もあります。ウリの中の問題を表に出さず、騒ぎを起こさないのが一番いい、というのです。裁判までいったりしたら、その人(貸したほう)は、ウリからは徹底的に排除されることでしょう。
しかし、「私」が波紋の中心なら、「他人」もまた、それぞれの自分という名の波紋の中心。こと韓国人は、ウリ(会社、仲間、広い範囲で)に順応しているように見えても、何かあれば、すぐ裏切ります。その順応によって「すでに対価は払った」と思っているので、何の迷いもなく、あっさり裏切ります。
だから、韓国人のウリは、長くは続きません。同じく「はじめに」の『国民日報』の記事のもう一つの指摘である「万人の万人に対する闘争」現象の原因が、ここにあるのかもしれません。
ウリとは話がそれますが、金融機関からお金を借りては、故意に返さない人たちもまた社会問題になっています。いわゆる「モラルハザード」です。
家計負債が大きな問題になっている韓国では、ちゃんとした担保や信用を持っている人たちは比較的利子が安い一般の銀行を利用しますが、そうでない人たちは、貸し出しの基準があまいけれど利子が高い金融機関を利用することになります。合法的に運用している貸付業者もまた、韓国ではそういう「基準がゆるく利子の高い」機関となります。
2016年8月3日、このモラルハザードを指摘している『マネートゥデー』紙の記事によると、あくまで取材に応じた合法貸付業者たちの話ではありますが、「合法貸付業者から貸し出しを受けた人の約半分は、故意に借金を返さない悪性債務者に分類される」との驚きの一行がありました。貸付業者側も相応の対応はしているものの、それでも返済を延滞する人も多く、その場合「七割は故意だと見ていい」とも。
幸福専門家が挙げた韓国人が「幸せ」を感じられない理由
本章の最後になりますが、本書の趣旨とも相性のいいデータを一つ紹介します。
ストレス問題が世界的に、皮肉なことにもっとも裕福なはずの先進国を中心に、大勢の人々を苦しめている今日このごろ。人の「幸福」をテーマにする研究もまた、心理学、社会学など様々な分野で進められています。
その中でも、「主観的幸福感」(Subjective well-being)という論文が特に有名な、イリノイ大学の心理学教授エド・ディナーという幸福専門家がいます。