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「返してほしければ、お前が『下』であることを示せ」なぜ韓国人は借りたお金を返さないのか

『なぜ韓国人は借りたお金を返さないのか 韓国人による日韓比較論』より #1

2020/05/13

「自分の方が下」だと示してはじめて金が返ってくる

 副作用が多すぎて、韓国の連帯保証人制度は2008年から廃止されました。

「親しい仲」(というウザさ)の人からお金を貸してくれと言われること自体がかなり苦しいものではありますが、問題は、返してもらえないことです。

 日本では「借りる時の地蔵顔、返す時の閻魔顔」とも言いますが、韓国には「お金は、座ってやり、立ってもらう」という諺があります。

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 ここで言う「座る」や「立つ」は、「上下関係」のことです。上の立場の人が座り、下の立場の人は立っていないといけません。すなわち、お金を貸す時には貸す人が上ですが、返してもらう時には、むしろ貸した人のほうが下になってしまう、という意味です。

 日韓両方の諺は、一見、同じ内容に見えます。どこの国でも、借りたお金を返す時には、誰もがいい顔はしないものなのでしょうか。ただ、日本の「返す時の閻魔顔」の場合は、「不機嫌そうだけど、返す」のニュアンスがありますが、韓国の「お金は、座ってやり」の場合は「『相手に下になってもらう』という相応の対価が得られないと、返さない」ニュアンスがあることに、お気づきでしょうか。

 この差は、致命的です。ちゃんと返してくれるなら、相手の顔が閻魔大王の顔だろうがトランプ大統領の顔だろうが、別にいいでしょう。

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 韓国の諺に含まれている「座る・立つ」(上・下)の意味は、貸したお金を返してもらうのはそんなにも難しいことだ、という普通の解釈もできます。

 でも、よく読んでみると、その真の意味は「対価の要求」です。お金を借りた人が、貸してくれた人に対して、「私がお金を返すだけでは、公正ではない。お前が『下』であることを示せ」と要求しているわけです。

「9回(お金を)貸してやっても、10回目に貸してやらないと恨まれる」

 韓国で何か大きな事故、事案が起きると、私はブログを更新するために、ニュースだけでなく、韓国側の個人ブログなども回って情報を収集することになります。その際に偶然見つけたものですが、あるブロガーが「お金は座って貸して、土下座して返してもらえる」と書いていました。例の諺の変形です。

 そのブロガーさんの個人経験ですので詳しくは書きませんが、自分が貸したお金なのに、自分が徹底的に相手より「下」にならないと返してもらえない、というのです。それでもコメント欄では「それでも返してもらえたからまだマシですよ」というコメントがいくつか付いていました。ただ、本文をよく読んでみたら、まだ返してもらったのかどうかハッキリとは書いていませんでした。

 情のこともあって、韓国では、銀行からではなく、知り合いからお金を借りることが普通にあります。データはありません。そう言われています。そして、実際、私の周辺の大勢の人たちが、知り合いからお金を借りていました。

 また、同じ人に何度も借りる人も多く、諺というほどではありませんが、「9回(お金を)貸してやっても、10回目に貸してやらないと恨まれる」とも言われています。