踏んだり蹴ったりの高校3年生
それにしても、今年の高校3年生は大変である。つくづくそう思う。
昨年度は大学入試改革の混迷ぶりを目にして、1年ちょっとでやってくる大学入試がどんな形になるのか分からず、ひたすら不安を覚えた高校生が多かったにちがいない。
そして、このたびの新型コロナ感染拡大による学校の一斉休校である。緊急事態宣言が出されているいま、この自粛がいつまで続くか皆目見当がつかないし、果たして大学入試までに高校で学ぶべきカリキュラムをそもそも消化できるのか。それすら判然としない。
過年度生(浪人生)にとっても過酷な状況である。従来の大学入試センター試験は終わり、今年度は大学入学共通テストに向けて対策を切り替えねばならない。でも、頼りにすべき塾や予備校は自粛していて授業を実施していない……。
来春の大学入学共通テストのモデル問題は存在しない
しかも、である。次年度より実施される「大学入学共通テスト」の試行調査(モデル問題の公開)は、2017年(平成29年)11月と2018年(平成30年)11月のたったの2回しか実施していない。つまり、先述した2つの目玉(英語民間試験の活用、記述式の導入)が頓挫したあとのモデル問題は一切存在していないのである。一応、2020年1月29日に大学入学共通テストの「問題作成方針」と「出題教科・科目の出題方法等」は公開されたが、抽象的な説明に終始してしまっている。
冒頭で触れた記者会見の場で萩生田大臣は2020年度の「全国学力・学習状況調査(全国学力調査)」や「全国体力・運動能力、運動習慣等調査(全国体力調査)」の実施中止を表明した。コロナ禍の中、とてもではないがそんな余裕はないのだろう。となると、今年の早い段階で大学入学共通テストの新たなモデル問題が公開されることもなさそうだ。