大学入学共通テストでは、新傾向問題の例として、数学では、実生活の場面を題材にした問題が出されたり、会話文形式で公式の証明や別解について考えさせる問題が出されたりするらしい。国語だと実用文の出題、資料(図表・グラフなど)や複数テキストの読み取りの出題がされる可能性がある。
ともに断定できないのは、2つの目玉が頓挫した以前の試行調査、そして、1月に公開された「出題教科・科目の出題方法等」の内容から推し量るしかないためだ。
いまのままだと高校3年生、そして過年度生である受験生たちはこの自粛ムード漂う状況下、「不確か」な入試を目指すしかないのである。
萩生田文科大臣に期待すること
さて、この大学入試改革は準備不十分のまま歴代の文科大臣に引き継がれていった。
このいわば「負の改革」に待ったをかけて「英語民間試験の活用」と「記述式問題導入」の見送りを決めたのは、いまの萩生田文科大臣だ。世論に押される形でそうせざるを得なかったのかもしれないが、わたしは英断だと思う。
わたしは萩生田大臣にこう訴えたい。
この異常事態の中で、新しい大学入学共通テストを決行すること自体が異常である、と。
知り合いの大学受験予備校の講師たちによれば、大学入試センター試験は課題もあるとはいえ、総じて評判が高い。難問や奇問が極めて少ない良質な問題揃いだし、毎年各科目の平均点がさほどぶれないことを考えても、受験生たちの選抜試験として十分に機能しているという。
そして、何より大学入試センター試験は30年分の「過去問」がある。
これらの過去問と向き合いながら、受験生たちは確かな対策を講じていくことができるだろう。
同時に、30年分のノウハウの蓄積のある大学入試センター試験を継続すれば、疲弊しているにちがいない大学の現場を多少なりとも助けることになるのではないか。
萩生田大臣、いかがお考えでしょうか。
学校の休校対応など目が回るお忙しさかと存じますが、大学受験生たちの大切な人生の岐路となる入試制度についていまいちど熟考してくださらないでしょうか。