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「違うんじゃないか」納得できない坂本

 しかし、イベントは先述のとおりの騒ぎとなり、成功したとは言いがたい。当日のスタッフと桑原サイドは綿密な打ち合わせや意識のすり合わせもできないまま本番を迎えたため、ステージ上の咲坂と桃内の掛け合いを音声が拾えなかったり、余興にスポットライトが当たらなかったりとトラブルが続発したという(※3)。それもあって観客の不満が爆発したのである。

©️文藝春秋

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 YMOとしても、このときの観客の反応は予想外だった。ただ、後年のインタビュー集(※4)で、細野は《あれは面白かったですね、なんだこれはと。(中略)誰もコントロールできない状況が展開されていく。予期せぬ面白さというか》と語り、高橋も《僕は全然OKでした。ああいうものをやるべきだと思っていたし、お金を払って来る人たちじゃないっていう意識もあったので》というふうに、混乱をむしろ楽しんでいた。もっとも、高橋は同時に《なんでウケないんだろうって、途中から結構イラだったりしてましたけどね》と打ち明けてもいる。坂本にいたっては、のちのちまで釈然としない思いが残った。同じインタビュー集では、《スネークマン・ショー自体はとても過激で面白いものだと思ったけど、YMOといっしょにやるってことは、違うんじゃないかっていう気持ちが強かったですね》と述べている。坂本によれば、スネークマンショーとのコラボは細野と高橋が決めたもので、事前にきちんとした説明はなかったという。それに対する苛立ちが「写楽祭」で観客への怒号という形で表れたのだった。