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わたしの「神回」

セガサターンの名作『ガングリフォン』はなぜ未来を予見できたのか

セガサターンの名作『ガングリフォン』はなぜ未来を予見できたのか

ロシアのウクライナ侵攻、オバマ演説……「神回」は現実化した

2020/05/08

ゲーム世界が現実になった

 ところで、前述したように北アフリカで戦争が始まったのに、なんでゲームはウクライナからスタートする(厳密には時系列で最初から4番目までは自由にステージ選択可能)のだろうか? これはスター・ウォーズがエピソード4から始まるようなもので、第三次世界大戦の中盤以降をゲームにしているからだ。この戦争序盤については、続編の『ガングリフォンII』(1998年)で描かれている。

『ガングリフォン』ステージ1開始前の状況説明(画像取得のため筆者所有ソフトをエミュレーション、超解像処理にかけており、厳密なゲーム画像と異なります)

 発端である北アフリカでの戦闘はPEUの勝利に終わるかと思いきや、戦争の最中にロシアが食料危機解決のために、同じPEU加盟国であるウクライナの再併合に踏み切りPEU軍が大混乱に陥り、その機を逃さずAPC軍が攻勢をかけたために痛み分けに終わっている。ウクライナからの救援要請を受けたAPCは、中国・日本からなる緊急展開部隊をハリコフ(現在一般的な日本語表記はハルキウ。ウクライナ東北部の都市)に派遣し、ウクライナ戦線の幕が切って落とされる。これがステージ1の背景だ。

アメリカによる世界の警察官放棄も……

 ロシアによるウクライナ併合といえば、現実でも2014年のクリミア危機でクリミア半島がロシアに併合されており、2015年というゲーム内の時間もほぼ合致している。また、前述したアメリカによる世界の警察官放棄も、2013年に当時のオバマ大統領の宣言で実現し、他にもゲーム終盤で起こるイギリスのPEU離脱など、ゲーム世界の設定が図らずも現実になっている。

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 もっとも、すぐに外れた設定もある。三菱重工とマクダネル・ダグラスの合併という初代の設定は、ガングリフォン発売翌年にマクダネル・ダグラスがボーイングに吸収されたため、IIではボーイングも絡んだ合弁会社という設定に変更になったと記憶している。

20年以上の時を経て訪問したウクライナ穀倉地帯。砂漠化はしてなかった(筆者撮影)

 また、当時は世紀末の雰囲気もあってか、食料危機やエネルギー危機を背景にしていたのだが、流石にそこまで深刻な事態は起きていない。なにより実現したロボット兵器で未だに人型はない。