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セガサターンの名作『ガングリフォン』はなぜ未来を予見できたのか

セガサターンの名作『ガングリフォン』はなぜ未来を予見できたのか

ロシアのウクライナ侵攻、オバマ演説……「神回」は現実化した

2020/05/08
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今もなお有志が二次創作

 セガサターン向けの2作に加え、2000年にPS2向けの『ガングリフォン ブレイズ』、2004年にはXbox向けに『ガングリフォン アライド ストライク』が発売されたが、以降は公式のガングリフォンシリーズは途絶えることになる。だが、公式のリリースが途絶えて10年以上経ってもなお、未だにコアな有志によってガングリフォンの二次創作ゲームの開発が行われている。

 そのひとつ、HIGH-MACS Simulatorは単体で動作するフリーゲームで、初代ガングリフォンの世界観を重視しつつ、セガサターンに近いグラフィックで、独自要素としてシステムをより現代的に洗練させており、初代を至高とするファンにはたまらないだろう。

HIGH-MACS simulator説明動画

 

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 また、世界的に知られているチェコのBohemia Interactiveが開発したファーストパーソン・シューティング(FPS)の『Arma3』にHIGH-MACSを追加するアドオン(MOD)として、HMCS アドオンが公開されている。こちらはArma3本体の購入が必要なものの(MODは無料)、現代水準のグラフィックな上、ネットワークによる多人数プレイも可能なので、他のMODを追加することで、自衛隊部隊とHIGH-MACSとの協同作戦や、歩兵対HIGH-MACSという夢のシチュエーションも再現できる。

Arma3 HMCS アドオン説明動画

 

リアル寄り……でもプレイヤーを立ててくれる

 設定やシステム上でもリアル寄りのガングリフォンだが、そのゲーム展開でも貫かれているのが、プレイヤー1機の活躍で戦争の帰趨を変えることはできない、という冷徹な世界観である。優秀な成績でステージクリアしても、作戦自体は失敗するし、どんどん戦況は悪化していき、最終ステージ前には降伏・武装解除にまで至る。

 だが、そんな世界観の中であっても、最終ステージだけは戦争の帰趨がたった1機に委ねられるシチュエーションが世界観に破綻を来さない形で用意されており、プレイヤーを充足させるニクイ心配りがたまらなかった。こういう部分があったのも、未だに愛されている理由なのかもしれない。

根強いファンに支えられたセガサターン
セガサターンの名作『ガングリフォン』はなぜ未来を予見できたのか

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