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「女性リーダーは優秀」という風潮の危うさ
今回、コロナ対策に面して女性リーダーを賞賛する声が聞こえてきている。ドイツのメルケル首相、台湾の蔡英文総統、NZのアーダーン首相など、コロナを早期に抑え込んだ国には女性のリーダーが多いという見方である。
しかし、その仮説が正しいとしてもそれは「女性リーダーだから健康や人命に敏感」なのか、「女性リーダーを生むほど男女平等の意識が強い社会だからひとびとの健康を守る政治ができた」のかどちらが正しいかはわからない。
また、人命を優先しない独裁的女性リーダーも多数いる。韓国の朴槿恵元大統領は記憶に新しいし、ネオリベラリズムの最初の実行者はイギリスのサッチャー元首相である。女性リーダーと言ってもひとくくりにはできないのは、現在フェミニズムがポストフェミニズムやネオリベラル・フェミニズムと混同されていると書いてきたことからも明らかだ。
怖いのは、小池派が、このような女性リーダー論を利用して、自らがオリンピックを優先させたことを隠蔽し、上昇気流に乗ることだ。
コロナ禍を経て、日本は格差が一層拡大し、社会が不安定化することが予想される。女性や若者、庶民の苦境は増すだろう。そんな中で、「女性リーダー」に本当に何を望むのか、イメージに惑わされず考えて欲しい。