「最近、ツイッターのTL(タイムライン)にアジア系イケメンの画像が増えた」「知り合いがなぜかタイ語のツイートを大量にRTしている」「いつも夜更かしの友人が金曜深夜だけ音信不通」
そんな人も少なくないのではないでしょうか。原因はいま日本で、そして世界で、多くの人が熱狂するタイのBL実写ドラマ(タイBL)です。放映中の2gether The Seriesをはじめ、タイで作られ世界中で視聴できる数々の作品が人びとを魅了し、Stay Homeに一役買っています。
BL人気に注目したタイのテレビ局の「本気」
「実写BL? どうせ若いイケメンがいちゃいちゃしてるだけでしょ」と思ったあなた、大間違いです。若いイケメンは確かにいちゃいちゃしており、それはとても素敵なことなのですが、作品の完成度の高さはおそらく想像をはるかに超えています。
これまでBL実写ドラマやBLそのものにあまり関心のなかった層からも高い評価を得ているのが特徴で、日本でも『朝日新聞』が昨年末、アジアにおけるタイBLの爆発的な人気をいち早く報じました(*1) 。
日本で生まれたBLマンガや小説は海外でも人気を博し、タイでも多くの作品がつくられてきました。その人気に注目したのがタイのテレビ局。先述の記事にある通り、もともとテレビ離れが進むタイの若者たちをひきつけようとつくられた作品がヒットし、いまタイでは年に20本ほどのBLドラマが公開されています。
とりわけ2gether The SeriesやSOTUS The Seriesなどの人気作は、タイでの放送に加えYouTubeの公式チャンネルで英語字幕付きで全世界へ配信されるため(全編無料)、その人気はアジアを中心に世界へと広がることになりました。
おそらく、YouTubeでの公式配信はさらなる海外マーケット展開を見越した一種の文化輸出戦略でもあるのでしょう(各地のファンの手により多言語の字幕が付けられている場合も多く、熱気を実感できます。2gether The Seriesなど、日本のファンのボランティアによる丁寧な日本語字幕が付けられているものもたくさんあります)。
特に今年2月から放映が始まった2gether The Seriesの人気はすさまじく、毎週金曜夜にYouTube版が公式配信されると、再生数は瞬く間に数百万回に達します。先述の記事のインタビューでドラマプロデューサーのジャルポーン・カントーンオップクンさんは、「タイではもう、禁断でもサブカルでもなく、メインストリーム。韓国がポップ文化の世界的発信地になったように、これからタイはBLドラマで世界の中心になる」と語っていますが、作品の質の高さがこの言葉の信憑性を裏付けています。