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《NY大学病院が公開》死に目に会えないコロナの看取り「最後の電話」で伝えるべき”5つの言葉”

2020/04/29
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 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。4月28日現在で感染者数は全国で1万3000人、死亡者数は390人を越えた。著名人の感染も相次いで報じられており、3月29日には志村けん(享年70)が、4月23日朝には女優でタレントの岡江久美子(63)が新型コロナによる肺炎で亡くなった。

入院後に一度も連絡がとれないまま大切な人を失うことも

 志村が亡くなった後、実兄は志村の死に目にあえずお骨上げの場にも立ち会えなかったと語っている。岡江もまた、夫である大和田獏(69)が待つ自宅へと帰ったのは荼毘にふされた後のことだった。「患者は死ぬ時に孤独」「家族は患者本人と会えない」という事実は、新型コロナの残酷な一面である。

志村けん(享年70) ©文藝春秋

 そして意外と知られていないのが、入院する際、感染媒介になる恐れがあるため、病室への携帯電話などの持ち込みが制限されることもあるということだ。実際に都内のある病院では、病室への携帯電話の持ち込みは禁止されている。新型コロナでの死別は、臨終の場に立ち会えないどころか、入院後に一度も連絡がとれないまま大切な人を失うことさえあるのだ。

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遺族がメンタル疾患にかかる危険性

 ハワイ州のホスピスでカウンセリングを行っていた“グリーフケア(患者や遺族へのメンタルケア)”の専門家である森田亜紀氏は「新型コロナウイルスによる死によって、遺族がメンタル疾患にかかる危険性はきわめて高い」と警鐘を鳴らす。

「一般に近親者は亡くなった家族の遺体に対面し、通夜、葬儀などのプロセスを経て死を受容していきます。しかし新型コロナウイルスにおいては、こうしたプロセスを経ないケースが大多数を占める。世間の目が気になり『身内がコロナに感染した』と口にできない人も多く、親戚や友人に話を聞いてもらいながら死を受容するというプロセスすらなくなる可能性もあります」

岡江久美子(享年63) ©文藝春秋

 死に直面する患者自身の恐怖もまた、計り知れない。

「入院患者も肺炎で苦しい上に死の恐怖と向き合い、医療従事者以外の誰とも会えないという状況は想像を絶するものがあります。『自分から家族にうつしていないだろうか』という不安も、病床でひとり抱えることになってしまいます」(同前)