新型コロナウイルス感染症を予防するステイホームにより、本が売れている。日販(日本出版販売)によれば、3月の本の店頭売上は前年同月比100.8%。2008年7月に同社が集計を始めて以来、初めての4ヶ月連続の前年超えとなった。
「鬼滅の刃」メガヒット コミックは前年同月比約120%
ジャンル別には、コミックの同119.6%が突出しており、市場を牽引している。特に「鬼滅の刃」シリーズが昨年4月に始まったアニメ化の効果で、350万部から4,000万部を突破するまでに、わずか1年で約3,650万部も売るメガヒットになっており、その勢いが続いている。
また、書籍は98.8%と前年をやや割れたが、詳細を見ると学習参考書123.8%、児童書114.9%、ビジネス書100.7%が前年を超えていた。特に小中学校、高校等の休校措置により、学参、児童書の好調ぶりが目立つ。
4月も好調を維持していて、店頭、ネット通販ともに本は引き続きよく売れているが、「自粛により休業している書店も多く、トータルでの売上がどうなるか。当面、コロナの収束までは見通しにくい」(トーハン・広報)状況である。
このように本は巣ごもり消費を引っ張っているアイテムの1つだが、書店の事情はまだら模様だ。
商業施設に入っている書店チェーンの大型店は、3月には既にイベントの中止によって施設自体の集客が落ち、売上が厳しくなっていた。
4月7日の1都6府県への緊急事態宣言によって、東京都、大阪府などの該当地域の商業施設が一斉に、食品スーパーなど一部を除いて、自粛の要請を受け入れて休業に入った。さらには、17日の緊急事態宣言の全国拡大で、全国の商業施設が同様に休業に入っている。そのため、中に入居する書店も休んでいるのが現状である。
図書館が自粛で閉まっているから、書店に?
また商業施設に入っていなくても、紀伊國屋書店新宿本店は休業している。4月8日から営業時間を短縮、平日の開店を30分遅らせて10時30分とし、閉店を3時間早めて18時としていた。他方、土曜日と日曜日は休業となっていた。ところが、15日から当面の間、自粛して休業へと変更になっている。
大都市の都心部にある書店は、同店に限らず従業員の感染リスク、リモートワークの増加による顧客減なども考慮して、休んでいるところが多くなっている。
ただし、東京都、大阪府の自粛を要請する業種のリストに、書店は入っていない(古書店は除く)。近郊の駅前やロードサイドの書店では、夜間営業を短縮して、概ね7、8時頃まで営業しているケースが多い。
店を開いている都市郊外や地方の書店からは、「図書館が自粛により閉まっているから、書店に人が流れている」といった声が聞かれた。
「鬼滅の刃」よりも売れたコミックは?
そんななか、今どういう本が売れているのか。