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情報は錯綜、浮足立つメディア

 3月26日、関係先のひとつである『泉台マンション』(仮名)で保護された、6歳の双子の男児の母親である田岡真由美さん(仮名、当時37)を被害者とする、詐欺容疑での再逮捕の可能性が一部の新聞で報じられた。しかしその件について、福岡地検の幹部は即座に「誰がこんなことを言っているのか。とにかく、あんまり先走らない方がいい。ほんと、誤報になるよ」と、確認にきた司法担当記者に向け否定している。それほどまでに情報は錯綜しており、メディアも浮足立っていた。

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 起訴前の再逮捕はないということが、福岡地検の幹部によって一部の司法記者に明かされたのは3月27日の夜のこと。しかし、“満期”の前日である28日になっても、福岡地検がどのような罪名で松永と緒方を起訴するのか、という情報は入らなかった。同日、福岡県警の捜査員が県警担当記者に対して口にした言葉が、福岡地検がいかに“保秘”を徹底していたかを象徴している。

「地検は明日、確実に起訴するということだけど、捜査本部がまだ怖がっているのが、地検が土壇場でひっくり返すということ」

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 ここでの「ひっくり返す」というのは、「監禁」は加えずに、「傷害」のみでの起訴に止めるということを意味する。つまり検察の最終的な決定については、警察の捜査員であっても、実行されるまでは知る術がないということだ。ただし、この捜査員は次の言葉を付け加えている。

「もし傷害のみで起訴の場合、弁護側は当然保釈を求めるだろう。だけどこちらに有利なのは、ふたりが黙秘していること。おかげでまず裁判所は保釈を認めない」

最終的には殺人での立件も視野に入っているが……

 監禁罪の法定刑は「3月以上5年以下の懲役」(当時=現在「3月以上7年以下の懲役」)であるが、傷害罪は「10年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」(当時=現在「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」)であることから、傷害罪の方が上限の罪は重いが、下限の罪は軽く、単独である場合は執行猶予の付いた判決も考えられる。なお、傷害罪の法定刑と比較して重い刑で処断される監禁致傷罪の場合は「3月以上10年以下の懲役」(当時=現在「3月以上15年以下の懲役」)となっている。

 捜査本部としては、最終的には殺人での立件も視野に入っているが、その前段階においても、できるだけ重い処罰を加えておきたいとの心情が窺える。

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 そうしたなか、3月29日、福岡地検小倉支部は福岡地裁小倉支部に、松永と緒方を被告人とする起訴状を提出した。