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連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

「さわいだひとは あさごはんぬき」保護された男児4人の奇妙な“共同生活”

完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件 #6

2020/05/05

genre : ニュース, 社会

note

 2002年3月18日、松永太(逮捕時40)と緒方純子(逮捕時40)に監禁されていた17歳の少女・広田清美さん(仮名)や、逮捕後の家宅捜索により、福岡県北九州市小倉北区泉台の『泉台マンション』(仮名)10×号室で発見された男児4人らを保護している、北九州市児童相談所の会見が開かれた。

児童の保護について「経過報告」

 会見に先駆けて、北九州市保健福祉局による〈児童監禁虐待事件に係る児童の保護について(経過報告)〉との紙が読み上げられた。それは以下の通りだ。

〔17歳の少女の状況について〕

1.少女は、他の子どもたちと一緒に施設で日常生活を送っている。

2.少女には、臨床心理士(*筆者註:20代半ばの女性)がついて心理的ケアを行っており、情緒的には安定していて、生活をする上で特に問題となるような行動などは見られない。

 

〔双子の児童と母親の面会の状況について〕

1.平成14年3月14日(木)午後2時40分頃、母親が双子の児童に面会するため児童相談所に来所した。

2.母親と児童は穏やかな雰囲気の中でお互いの近況等を約30分間話していた。

3.母親は、お土産として本などを持参し、「またいつか会いに来るからね。」と言って別れた。

 

〔今後の対応〕

1.17歳の少女については、施設での日常生活の確保と心理的なケアを中心に行っていきたい。

2.双子の児童は、父親又は母親の面会を継続する中で、子どもの養育などについて調整が整うまでは施設にて養育し、学校も施設の所在する校区の小学校に通学することとなる。

少女が体をみずから傷つけることはない

※この画像はイメージです ©︎iStock.com

 その後、南川喜代晴所長(当時)が記者たちと質疑応答を行った。以下、記者を「Q」、南川所長を「A」として一部を再現する。

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Q「少女の生活の様子は?」

A「前も話したが、朝起きて勉強し、いろんなレクリエーションをして遊んで夕食。少し自由にして就寝です」

Q「少女は本を読んだり、テレビを見たりして過ごしているのですか?」

A「そうですね。テレビについてはこういう事件ですし、精神的ダメージを考慮して、ニュースのあるような時間は消していることもある。私たちの考えでやっている」

Q「被疑者の弁護士が少女に自傷癖があると言っていますが、保護してから自傷行為に及ぶことはあったのですか?」

A「少なくとも保護して以降、新たに体に傷が増えたとか、そういうことはありません」

Q「保護以前については?」

A「つねったような皮下出血とか、首に絞められたような痕はありました」

Q「それを弁護士は自傷癖だと言ってますが」

A「少女については、安心と安全の確保を最優先に考えています。過去のエピソードについてはこちらの方から一切触れない。ただ、少女の方から話すなかでは、自分が昔から体をみずから傷つけることはないようです」