性犯罪においては女性が被害者になるケースがやはり圧倒的に多い。内閣府が2017年に実施した「男女間における暴力に関する調査」によれば、無理やりに性交等をされた経験がある女性は7.8%。13 人に1人という高い割合です。「#MeToo」と呼ばれる世界的なムーブメントも記憶に新しいところです。

 昨今では、知らない大人と簡単に接点を保つことができてしまうソーシャルネットワークサービス(以下、SNS)が性犯罪の温床になっている場合も多いようです。少女の側から「#家出」「#泊めて」など、ハッシュタグと呼ばれる「目印」を付けてSNSに投稿することで、卑劣な行為を目的とする大人がすぐにターゲットを発見できるのです。

※写真はイメージです ©︎iStock.com

SNSで性被害に遭う子どもは年間2000人以上

 SNSという新たなツールが、見ず知らずの大人と子どもたちをつなげてしまう機会を拡大しています。警察庁によれば、SNSを使って児童買春や児童ポルノといった性犯罪などの被害に遭った子どもの数は、2019年に2000人を超え、過去最多を更新しました。このような状況から子どもをどう守るのかは、現在、親としての大きな課題です。

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 中学生くらいから子どもにスマホを買い与えるご家庭も多いでしょう。その際、男の子の親がよく心配するのはゲームにはまってしまうことです。一方、女の子の親がよく心配するのはSNSにはまってしまうことです。

 思春期の男の子が無意識的にSOSを発する場合には万引きなどわかりやすいトラブルを起こしますが、女の子の場合、摂食障害のように内に向く形で出やすいことが以前から指摘されていました。しかしいまの女の子たちは、SOSの新しい発し方の1種類としてSNSを“活用”しているのかもしれません。親を悲しませたい、親にショックを与えたいという無意識が、新しいタイプのトラブルを引き起こしているのかもしれません。

 SNSがきっかけで生じるトラブルとしては、心ない大人たちとの接点ができてしまうこと、不適切な動画や画像の流出、友人同士の人間関係のこじれ、いじめなどがあります。

「好奇心が強い子や社交的な子は、そこが思わぬ落とし穴になる」

 拙著『21世紀の「女の子」の親たちへ 』の取材を通して、この点について私は名門女子校の先生たちに話を聞きました。スマホやSNSそしてインターネット全般についての注意喚起は、どんな学校でもほぼ例外なく行なっています。でも「学校で教えられることには限界がある」とも神戸女学院中学部・高等学部の林真理子先生(当時)は嘆きます。