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ポイント2「子どもを“尊重する”のと“甘やかし”を間違えない」

 子どもは、すべてが大人より劣っているかというと、そうではないといわれています。五感や観察力は大人より優れています。また、子どもは、生活経験は少ないものの、1人前の人間として本気で生きているので、「子ども扱い(未熟者扱い)」されるのを嫌がります。例えば、心理学や脳科学の実験で生後6カ月から10カ月くらいで、8割近くの赤ちゃんが、どんな行為をする人がいい人か分かる、ということが証明されているのですよ。ですから、1歳や2歳の子どもを、「まだ赤ちゃんだから」と思って接しているか、尊重して接してくれているか、分かってしまうということなのです。

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 なんでもやってあげる、いいなりになるということ(甘やかし)ではなく、困っている時は助け、自分でやりたいと思っている時は尊重して任せたり、待ってあげたりするということが大事です。困っている時に助けることは、甘やかしではなく優しさや共感なので、そうされて育った子どもは、誰かが困っていれば助けるようになりますし、その人の気持ちを分かろうとします。

 だから、今、大人が困っていることにも協力しようとしてくれるようになるのです。もちろん、そうはいっても子どもですから、長時間、長期間という訳にはいきませんが、きちんと訳を話したり、目に見えるように「時計の針が、ここまでね」と具体的に提案すると、意外に協力してくれるはずです。ポイントとしては、ちょっと我慢の時間は短めに。そして、必ず約束を守る。ここを大切にすると、子どもから信頼されるので、特別な事情のときに譲ってくれる柔軟な対応もしてくれるのが、子どもの義理堅く素晴らしいところなのです。私は、保育士時代に、その信頼にどれだけ救われたかしれません。

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 気をつけなければいけないのは、兄弟・姉妹がいる場合です。つい上の子に対して、我慢を強いてしまいがちなので注意が必要です。「もう大きいんだから……」「下の子の世話をしてあげてね」と言うことが、度重ならない様にしましょう。

 親は、忙しいと、どうしても上の子に面倒見の良さを期待したくなりますが、ぐっと我慢してください。兄弟それぞれが自由に「ひとり遊び」できるように工夫すると、上の子は「自分を理解してくれて、欲求を満たしてくれた」と安心して、自分から下の子の面倒を見てくれるようになったり、本当の意味で優しくできるようになります。