4月7日、新型コロナウイルス感染拡大防止のために政府が7都府県に対して発令した緊急事態宣言。特定業種には休業要請が出され、その他の企業も多くが在宅勤務を導入している。慣れない在宅勤務でストレスを抱えている人は多いが、特に困難に直面しているのが未就学児のいる子育て家庭だろう。
4月9日までに、東京23区と政令指定都市33市区のうち、2割超が保育園の休園を決定。6割超は登園の自粛を要請している。仕事と育児の両立はこれまで以上に過酷さを極めている。そしてゴールデンウイークへ突入……。
この急場をどう凌げばいいのか。東京家政大学ナースリールームで42年間保育士として勤務した経験をもつ、非営利団体「コドモノミカタ」の代表理事・井桁容子氏に話を聞いた。
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新型コロナウイルスの影響で在宅勤務中の全国のお父さん、お母さん、本当におつかれさまです。慣れないリモートワークに加えて子育てもしなければならず、めまぐるしい日々を送っていることと思います。
「何してるの?」「これ(会社の資料)なあに?」など、子どもは在宅勤務中の親がいつもと違う様子だということを敏感に察知します。そして、親の関心が自分ではなく何か別のこと(仕事)に向いているとわかった瞬間に好奇心もありますが、不安を感じて、質問攻めにしてみたり、膝の上によじ登って興味や関心を引こうとしたりするのです。
未就学児は長時間の「ひとり遊び」ができない
「子どもが昼寝している間しか仕事ができない……」と嘆く親御さんも多いことでしょう。30分でも静かに1人であそびに熱中してくれたら、自分も仕事に向かうことができるのに。でも、お昼寝でもしない限り、大抵の場合は1人で静かにしてはくれません。特に一般的に0~6歳の未就学児は、それほど長い時間、夢中になって「ひとり遊び」はしてくれないものです。むしろ、する方が心配ともいえます。テレビやYouTubeを見せれば、おもちゃで遊ぶよりも長時間引き付けられますが、それは、子どもの心身の健康に良くないといわれています。たとえば、ブルーライトを長時間子どもに見せると視力に影響すること、実体験する遊びと違って、五感の中の視覚、聴覚が主に使われていて脳への刺激が偏ること、応答的なやり取りが少ないことによるコミュニケーション力への影響などです。
では、どうやったら、未就学児にも「ひとり遊び」をさせることができるでしょうか。「ひとり遊び」は、子どもが自ら集中力を発揮して取り組む遊びのことです。保育学では「自発的な遊び」と言い換えられます。
「ひとり遊び」の種を見つける
まず、子どもがたとえ短時間でも、黙々と何かに取り組んでいたら最適な「ひとり遊び」の種を見つけるチャンスです。
子どもが黙々と何かに取り組んでいたら、その子が興味を持っているのは音なのか、動きなのか、手触りなのか見極めてください。もし音であれば、「こんなのはどう?」と、音がする別のものを渡してみてください。それにも興味を持っている様子があれば、正解ということ。遊びが更に続いていくので、観察は大成功です。
ただ未就学児の集中力が持続するのは個人差もありますが、概ね15分程度。では大人の負担を出来るだけ減らしながら子どもに1人で遊んでもらうにはどうしたらいいか? それには「絶対にやってはいけない」2つのポイントを守ることが必須です。