ポイント1「子どもに遊び方を教えない」
年齢にもよるし、遊ぶおもちゃの種類にもよります(決まった使い方をしないと危険な場合。たとえばシャボン玉などは、使い方を伝えないと危険)が、まずは子どもがどう扱うか任せてみることが大事です。「そうじゃなくて、こうでしょ!」というような、大人が正しい遊び方を教えようとしすぎると、子どもの自由な発想力を窮屈にさせてしまい、興味が長続きしなくなるのです。
「ひとり遊び」をあまりしない子どもには、ある特徴が見られます。それは、大人が子どものやることになんでも口を出してしまう家庭。親が子どもの柔軟な思考や選択に正解を求めすぎたり、道しるべを作ってしまうと、常に親の顔色を窺ってしまい、自分の世界に没入できないのです。「ちゃんとできてる?」と評価を気にしたり、「できない!」と、結果を気にしてしまったりするからです。
あるとき、「3歳の子どもが台所に興味を持って危ない」というお母さんがいらっしゃいました。私が無難な調理器具をわたしてみてください、とアドバイスしてみたところ、お母さんはザルと同じ大きさのボウルに溜まっていたペットボトルのキャップを数個入れて手渡してみました。するとその子は、お母さんの足元にしゃがみこんで、移したりかき混ぜたりして遊びはじめました。「トングがあったら、掴んで移す難易度が上がって面白いかも!」とひらめいて、子どもにトングを「これもどう?」と提案すると、受け入れてもらえて、さらに黙々と遊び始めました。そのうち、ザルをひっくり返して、近くにあった乾燥パスタを一本一本ザルの穴に差し込んで遊び始めたというのです。
「いくら散らかしても怒らないから好きにどうぞ」というスペースを
そこでお母さんが偉かったのは、「パスタが無駄になってしまう」「ザルはそうやって使うものじゃないでしょ」などとは言わず、黙って子どもの遊びを見ていてあげたことです。更に、パスタが折れて下に落ちるので、ボウルを下に置いてあげました。小指の先ほどに短くなっても、「何かの料理に活かせばいいや」と、その子の遊びに口を出さないで見守ったそうです。そのおかげで、子どもは、長いままパスタを穴に押し入れると、中でポキッと折れて面白いこと。ザルを持ち上げてみると、ボウルの中で短いパスタがたまっていることを面白がりながら、かなり長い間、自分の世界に没入することができました。しばらくして満足そうに「できたよ!」とお手伝い気分で作った短くなったパスタをお母さんに差し出しました。「ありがとう! 今日は、これでチーズパスタを作ろうか!」と、すぐに茹でて、バターと粉チーズで絡めて1品出来上がり!
お母さんも台所仕事に集中することができたそうです。
どうしても子どもの遊び方が気になってしまう場合は、あえて子どもとの“境界”を作ることをお勧めします。本来、子どもは安定した精神状態にあれば、大人の力を借りずに遊んでいたいものなのです。たとえば、ダンボールで囲いを作って、その中で遊ばせてあげるとか、部屋の一角や押し入れに「ここだけはいくら散らかしても怒らないから好きにどうぞ」というスペースを作ってあげる。小さな王国です。
大人も自分の子ども時代を思い出せば心当たりがあるはず。子どもは限られたごく小さなスペースであっても、想像力を働かせてどんどん大きな世界を作っていくのです。そのためには、大人が過干渉にならない配慮が大事なのです。