文春オンライン

授乳中に痛みがあった人は要注意! 更年期の「手指のこわばり」「ゆがみ」は予防できる

女性の更年期治療が変わった#2

2020/05/05

source : 週刊文春WOMAN 2019年正月号

genre : ライフ, 医療, ヘルス, ライフスタイル

授乳中に痛みがあった人は注意

 指の痛みには腱鞘炎や関節炎があるが、名前がよく知られている「ヘバーデン結節」は指の第1関節に起こる関節炎で、第2関節に起こる関節炎は「ブシャール結節」という。

ヘパーデン結節になった手。指の第一関節に痛みや腫れが起きている

 いずれも更年期だけでなく、出産・授乳期などエストロゲンのゆらぐ時期に発症し、朝のこわばりから「雑巾が絞れない」「びんのふたが開けられない」など生活の支障が起きてくる。

 産後の症状は、授乳が終わって月経が再開すればエストロゲンの分泌も戻るため、次第に改善するが、閉経は不可逆的なもので、その後はエストロゲンの枯渇した状況が続く。治療もせずに長い期間耐えていると、やがて指の変形を引き起こすということがわかってきた。

ADVERTISEMENT

©︎iStock.com

「変形がある程度すすんだ段階での治療には、ステロイド注射や手術療法があります。しかし大切なのは、変形のない段階でエストロゲンのゆらぎを抑え、変形を予防することです。これまで当クリニックでは低用量ピルやHRTを使っていましたが、現在はエクオール成分のサプリメントを治療と予防にすすめていて、結果が出ています」

 エクオールは大豆イソフラボンの代謝物で、エストロゲンの減少した体内ではその代わりに受容体にはまりこみ、エストロゲンに似た働きをするというものだ。

大久保医師が治療に使っている大塚製薬のエクエル

「エストロゲン受容体にはαとβがあり、βの受容体は手指などの関節や骨の維持に大切なことがわかってきました。エクオールはβ受容体のほうに入りやすいとされ、手指の症状改善にはいいと考えられます」

 サプリメントなので即効性を期待するのではなく、2~3か月はとる必要がある。だが次の診察では患者さんのほうから「指だけでなく膝も楽になりました」「肩も調子がいいです」と言われることもあるという。

「今まで、家の仕事や親の介護でずっと忙しくて、自分のことなどかまっていられなかった……という患者さんの手が、すでにかなり変形が進んでしまっていることがあり、可哀相でなりません。エクオール成分のサプリメントは市販されていますので、痛みがあっても受診する時間のない方は、せめて早めに摂取されることをおすすめします」

 特に、妊娠・授乳期に手指の痛みがあった人や、親や姉妹がヘバーデン結節などを発症しているという人は、手指の疾患になりやすい傾向があるという。変形が起きる前の予防が重要だ。

(続き「薄毛の女性は頭皮の血流量が低下ーー女性型脱毛」は明日公開されます)

授乳中に痛みがあった人は要注意! 更年期の「手指のこわばり」「ゆがみ」は予防できる

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

週刊文春WOMANをフォロー