日本人女性の閉経の平均年齢は約50歳(日本女性医学会調べ)。その前後5年間(計10年間)を「更年期」ととらえ、その時期に起きる不調を「更年期症状」と呼ぶことは今や一般的だ。

 しかし日本では、不調に悩みつつも更年期による影響だと気づかない女性も多い。また、「いい年齢をして産婦人科にかかるのは恥ずかしい」と医者にかからなかったり、あるいは積極的な治療を受けることへの抵抗感が強かったりして、治療を受ける女性はまだまだ少ない。

 だが今、女性の更年期治療が変わってきている。更年期の症状は確実に「治せる」ものになってきているのだ。〈最新医療〉から〈健康食品〉、〈今すぐ試せる生活習慣〉まで、専門の医師たちが「更年期症状に効果があった」と、エビデンスをもって推奨する方法を紹介する。(全4回の2回目/#1#3#4を読む)

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【case 2】ヘバーデン結節 エクオールは治療にも予防にも

「週刊文春WOMAN」2019年正月号

「朝、手がこわばって握れない」という症状を、40代後半から感じる女性は多いようだ。

 前出(第1回)の三羽氏が語る。

「電話相談でも、手のこわばりに関する悩みは以前から非常に多いですね。関節リウマチを疑って検査を受けたが、結果は陰性(リウマチではない)だったというケースもよく聞きます」

 関節リウマチは自己免疫疾患のひとつで、患者数は女性が男性の4倍多い。40代から発症する人も多いため、初期のうちは更年期症状と見分けがつきにくい。

 リウマチ検査が陰性だとホッとするが、「更年期症状の一つ」とされると、従来の治療では湿布薬が処方されるだけだった。「加齢のせいだからしかたがない」「手の使い過ぎ」「痛いときは動かさないで」と言われ、なすすべがないまま、「包丁が握れない」など、日々の家事にも支障をきたすようになる女性も多い。

四谷メディカルキューブの大久保ありさ医師

 四谷メディカルキューブ手の外科の大久保ありさ氏(形成外科医)は、最近の研究で判ってきた「手指の症状と更年期の関係」について次のように解説する。

「関節の滑膜には、エストロゲンの受容体が分布しています。エストロゲンが減少してくると、滑膜のむくみが起こり、関節が腫れやすくなります。エストロゲンには抗炎症作用もあるため、エストロゲンが減少すると関節の炎症は持続しやすく、関節の痛みや腫れを引き起こします」