昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

更年期治療の鉄板 1カ月1500円のホルモン補充療法が普及しないのはなぜ?

女性の更年期治療が変わった#1

2020/05/05

source : 週刊文春WOMAN 2019年正月号

genre : ライフ, 医療, ヘルス, ライフスタイル

 日本人女性の閉経の平均年齢は約50歳(日本女性医学会調べ)。その前後5年間(計10年間)を「更年期」ととらえ、その時期に起きる不調を「更年期症状」と呼ぶことは今や一般的だ。

 しかし日本では、不調に悩みつつも更年期による影響だと気づかない女性も多い。また、「いい年齢をして産婦人科にかかるのは恥ずかしい」と医者にかからなかったり、あるいは積極的な治療を受けることへの抵抗感が強かったりして、治療を受ける女性はまだまだ少ない。

 だが今、女性の更年期治療が変わってきている。更年期の症状は確実に「治せる」ものになってきているのだ。〈最新医療〉から〈健康食品〉、〈今すぐ試せる生活習慣〉まで、専門の医師たちが「更年期症状に効果があった」と、エビデンスをもって推奨する方法を紹介する。(全4回の1回目/#2#3#4を読む)

©︎iStock.com

 ◆ ◆ ◆

エストロゲンは強い抗酸化物質

「週刊文春WOMAN」2019年正月号

「以前は、夫の定年退職が重荷だったり、子どもが家を離れて寂しいという“からの巣”の悩みと体の不調を関連づけた相談が多かったのですが、働く女性が増えるに伴って、最近は職場における更年期症状の辛さを訴える声が多くなっています」

 こう話すのは、1998年から更年期世代の女性の健康に関する電話相談を行っているNPO法人・女性の健康とメノポーズ協会の三羽良枝理事長だ。

「発会の当初は、更年期という言葉さえ一般的ではなく、自分の身に何が起きているのか皆目わからずに不調を訴える女性が多数でした。現在は、知識は普及したものの、いい治療法を見つけられている女性はやはり少ない。こちらでは治療法や医師の案内もしているのですが、働く女性では『更年期症状で体力や集中力が低下してしまい、以前のように能力を発揮できない自分がつらい』と昇進の話を断ってしまったり、退職される方などもいて、じつに残念です」

 いま、女性の人生、特に後半戦の様子が大きく変化しつつある。働く女性が増え、更年期と、仕事で重要なポジションを担う時期が重なってきただけでなく、そこに親の介護負担まで加わってくることもある。

女性の健康とメノポーズ協会の三羽良枝理事長

 また、そもそも妊娠出産年齢が遅くなっているために、更年期になってもまだ、最も手のかかる時期の子育てに追われている人も多いのだ。

 日本女性医学学会認定の女性ヘルスケア専門医でもある、東京歯科大学市川総合病院産婦人科の小川真里子医師が解説する。

「妊娠、出産の時期が遅くなったからと言って、閉経のメカニズムまで遅くなるということはありません。50歳という閉経の平均年齢は昔から変わらない。むしろ40代での不妊治療後の出産だと、授乳を終えても月経が戻らず、そのまま閉経を迎えるというケースも起こります」

 そもそも閉経とは、卵巣が機能を停止し、エストロゲンなど女性ホルモンの分泌が低下し、やがてゼロになることを指す。具体的には12カ月以上、無月経が続くと、閉経とみなされる。