浜中氏によると、女性の場合、男性に比べて、薄毛の原因が複雑なのだという。
CMなどでもよく目にするように、男性型脱毛症(AGA)では、男性ホルモンのジヒドロテストステロンの毛根への作用を阻害する内服薬が生まれたため、AGAの治療法はほぼ確立したと言ってもいい。
爪が硬くなったら髪は半年先
一方、女性型脱毛症では、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017」によれば、治療薬で推奨度「A」となっているのはミノキシジルの外用薬だけ。他の外用薬などは、かつらの着用と同じ程度の有用性しか認められていない。
これについて、浜中氏は「女性の髪の問題はエストロゲンだけで解決するような簡単なものではない」という。また「研究例が少なすぎる」という現状もある。
浜中氏は最近、頭皮近くの細い血管の血流速を特殊な機器で測定し、頭頂部の皮膚の厚みとともに比較した試験結果を発表した。
「その結果、薄毛の症状が出ている女性では皮膚の厚みが薄くなり、血流量が低下していることがはっきりと分かりました。とくに頭頂部では血流低下が進んでいます。薄毛の人は血流が不均一で、毛根全体に行き渡っていなかったのです」
こうした実証データを元に、浜中氏は、ミノキシジル外用薬やホルモン補充などとともに、女性の頭皮の血流アップと保湿に着目した治療を行っている。
「髪の質は毛根から生えてくるときに決まります。ビタミン類やミネラル、アミノ酸など日頃の栄養の取り方や睡眠、禁煙、また有酸素運動などで手先や足先の細い血管まで血流を良くすることも、髪の質に関係します」
白髪を染めずに伸ばしていく「グレイヘア」も話題だが、スタイリッシュに見せるためにはやはり髪の量が欲しい。
「髪と爪は同じ成分なので、爪から硬くなって質が変わってきます。これを目安に、半年先を見据えてください」
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