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 現在、三井記念病院ではこの治療を行っていないが、「もし受けるなら、婦人科診察に対応している医療機関で、十分に説明を受けた上で行ってほしい」という。現在、レーザー療法に保険適用のものはなく、1回3万~5万円程度がかかる。

 一方、中田氏が現在、熱心に取り組んでいるのが、「排尿と外陰部ケアの見直し」だ。実はGSMの知られざる原因は、「排尿の仕方」なのだという。

 年齢とともにヒップラインが下がってくるものだが、実は尿道や腟を包むようにある陰唇も、30代から徐々に下がって厚みを増してくる。すると、「特に洋式トイレで膝を閉じた姿勢で排尿すると、尿が陰唇の壁にぶつかって尿が腟内へ逆流してしまうのです」

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日本女性の腟内は汚れている

 こうして入り込んだ尿が刺激となり、腟と外陰部に炎症を起こして痛み、かゆみ、乾燥感、頻尿などを引き起こすのだという。「自分が尿臭い」のは、まさに腟からデリケートゾーン全体に尿が残っているということなのだ。清潔好きの日本人女性だが、外陰部のケアは遅れている。

「逆流した尿だけでなく、垢、トイレットペーパーの断片、果ては恥毛のからまった毛玉までが入り込んでいる人がけっこういます」

 対策は、排尿するときの洋式トイレの座り方。

(1)陰唇を開くために、洋式トイレでは膝を大きく開いて座り、前傾姿勢をとる。

(2)畳んだトイレットペーパーを押し当てるようにして、こすらずに尿を吸い取る。

(3)痛みやかゆみのあるときは温水洗浄便座を使わない。

(4)お風呂では粘膜にしみない石鹸や洗浄剤を使って、指できれいに洗う。

 この4点に気をつけるだけで、GSMの症状が劇的に改善する患者が続出しているのだという。

「最近はデリケートゾーンを脱毛している女性も見かけますが、アンダーヘアのない状態では外陰部の皮膚は傷みやすくなるので、更年期世代の女性にはあまりおすすめではありません」

 中田氏は、子宮や膀胱が下がってきて腟の中に落ち込んでしまう骨盤臓器脱治療の第一人者で、骨盤内にメッシュを入れて臓器脱を防ぐ手術(経腟メッシュ手術)を日々行っている。

「この手術を受けた患者さんにも、先ほどの4点を重点的に指導しています。常に尿や垢などの刺激にさらされ炎症が続いていると、挿入したメッシュが腟から露出しやすくなるからです」

 尿の逆流を防ぐと、レーザーやホルモン補充による治療も効果が出やすくなるのだという。

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 適切な対処法が見つかれば、更年期はもっと快適に過ごしやすくなる。この世代の女性の活躍の場も広がっていくはずだ。