「社会が止まってしまえば、生きるための仕事も脅かされていきます。それが分かった今、経済が右肩上がりに上がっていくことだけが幸せなのか、という疑問も出てくるでしょう。働き方改革という流れに加えて、今回のことでリモートワークが進みましたから、今後は地方に住んでリモートで仕事をして、人生を楽しもうとする人が増えていくのではないでしょうか」
サッカー界に対する複雑な思い
一方で、サッカー界に対しては複雑な思いを抱かざるを得ないという。
「私はJリーグのOBですから、サッカー界には貢献したいですし、絶対につぶしてはいけないと思うのですが、今はそこに力を割くことは難しい。しかもコロナは日本だけの問題ではありません。
世界では工場の操業がストップしたことで空気が綺麗になっているところがあると聞きます。そういうことを見聞きすると、やはり地球には自浄作用があるのだなとあらためて感じます。経済を膨らませば膨らますほど問題が出てくるという摂理が見えた中では、やはり、いろいろと考えさせられます。ただ、地球を汚さない方向に進むよう、持続可能な取り組みができるのが日本だという思いもあります」
今、鈴木氏が喫緊の課題だと強調するのは、安心・安全な社会を回復していくことだ。
「プロスポーツやエンタテインメントの興行が成り立つのは、それを応援してくれる皆さんの生活基盤がしっかりしていることが前提です。議論の先に何があるかを設定してから議論をし、まずは各地域の経済活動、社会活動を正常に戻すべきです」
アスリートが第一に望むのも社会の安定回復なのだ。