昨年12月に金原会長が去り、役員人事も刷新されたテコンドー協会。そのなかではどんなことが起きていたのか。当時、協会の理事を務めていた高橋美穂が明かす内実とは? (【#1】を読む)

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 国際大会のエントリー漏れというあり得ないミス……それでも金原会長を頂点としたテコンドー協会の体制が変わることはなかった。

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 2019年5月に世界選手権マンチェスター大会を迎える。これが決定的な事件となった。

 協会は選手を8人派遣する一方でなぜか協会スタッフを11人現地へ同行させたのである。高橋美穂は当時を振り返る。

テコンドー協会元理事の高橋美穂氏。選手として1992年バルセロナ五輪に出場している

選手に出させた17万5000円の使い道が説明できない……

「さらに選手を連れていく前にスタッフは視察旅行までしていました。お金がない協会で、イギリスに視察に行くのか?と。しかも協会がお金を負担すればいいんですけど、世界選手権に出場するために、選手1人当たり17万5000円という金額を出させている。

 テコンドー選手の場合、所属企業に堅い企業が多いんです。たとえば金融会社や出版社……そういった企業の方々から、この金額を何に使ったのか説明してほしいという話が出ました。そこで選手権後、所属企業、選手たちを全員集めた説明会が実施されたんですよ。しかしそのときに金原会長体制下の小池コーチたちは使途の説明ができなかったんです。選手・スタッフ19人が遠征していて、JOCからの助成金もある。助成の残りの金額を派遣する選手の数で割れば、1人当たりの自己負担金というのがわかるんです。でもそこの説明ができずに、明細すら出て来ない……」

 不信感の中での遠征が成功するはずもなく、マンチェスター大会の結果は惨憺たるものであった。メダルどころか、最高がベスト16(3人)で、2回戦敗退2人と初戦敗退が3人だった。選手からは、「代表合宿は中身が薄く、自分たちのホームのほうがもっとレベルが高い練習ができている。それなのに合宿は強制で、お金も負担させられる、それでは今後行かないですよ」という声も出た。