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連載池上さんに聞いてみた。

池上さんが解説する、WHO事務局長が「中国に頭が上がらない理由」

池上さんが解説する、WHO事務局長が「中国に頭が上がらない理由」

池上さんに聞いてみた。

2020/05/06
note

Q WHOは中国寄りの立場?

 アメリカのトランプ大統領とフランスのマクロン大統領が、WHOの改革が必要という認識で一致したとニュースになっていました。トランプ大統領は新型コロナの感染拡大について、WHOが中国寄りの立場をとって判断を誤ったとして資金拠出の停止も表明しています。WHOがそうした疑いを持たれる理由は何ですか。(10代・女性・学生)

A WHO事務局長の言動が、常に中国に配慮しているからです。

 WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長の言動が、常に中国に配慮しているからです。テドロス事務局長はエチオピア出身。マラリアの研究者で、エチオピア政府では保健大臣と外務大臣を歴任した後、事務局長に選出されました。エチオピアは中国から多くの支援を受け、中国に頭が上がりません。

 こういう人物がWHOの事務局長になることは中国にとって好都合というわけで、事務局長の選挙では中国の支援で当選しました。

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WHOのテドロス事務局長 ©Christopher Black/WHO/ロイター/AFLO

 中国から感染が拡大しても、中国の封じ込めの努力を称賛したり、事務局長がわざわざ習近平国家主席に会いに北京に駆け付けたり、その中国寄りの姿勢は露骨です。

 中国はWHOへの拠出金も増やしていますから、事務局長は常に中国の方を見て仕事をしているのです。

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