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放送再開にファン歓喜 『M 愛すべき人がいて』はなぜ“人に喋りたくなるドラマ”なのか

トンデモドラマと侮ることなかれ

2020/06/13

 土曜ナイトドラマ『M 愛すべき人がいて』が話題だ。放送再開に歓喜するTwitterでは、本作の実況合戦が「コロナ禍で唯一楽しめる時間」とする声まで出ている。

 このドラマ、元々は浜崎あゆみへの取材をベースにした小松成美による同名小説である。1990年代、敏腕プロデューサーのマサこと松浦勝人と出逢ってスターの階段をのぼるも、そのうちには、泥沼のような試練と大恋愛があったことが明かされる。「事実を基にしたフィクション」とされるが、有名人同士の隠された恋には大きな注目が集まり、累計発行部数16万部を越えるベストセラーとなった。

浜崎あゆみ ©getty

大企業のビルを前に仁王立ちして「ぜってぇ負けねえ!!!!」

 しかし、ドラマ版『M』はなんだか奇妙だ。開始早々、三浦翔平演じる若き敏腕プロデューサーのマサが、大企業のビルを前に仁王立ちして「ぜってぇ負けねえ!!!!」と大声で叫ぶ。いくらなんでも熱すぎる。

 エイベックス期待の新人歌手、安斉かれん演じる主人公アユは、マサから才能を認められたことによってほかの芸能人から嫉妬され、靴に画鋲を入れられるなど古典的なイジメに遭うようになる。

 2話の養成所編では、イジメっ子の罠にかけられて肩を脱臼したところで、マサから「大量のペットボトルを背負って走るマラソンで上位に入らないとデビューできない」という過酷な試練を命じられてしまう! 本当に行われていたなら大変だが、十中八九フィクションだろう。

 田中みな実が怪演するオリジナルキャラに至っては、もう見た目からおかしい。マサの秘書である彼女が着用する眼帯は、なぜか饅頭のような色とフォルム。これは東京名菓ひよ子、いやいや鳩サブレー……といった具合に、登場するたびSNSでは大喜利が繰り広げられる(田中によると、博多通りもんに一番似ているらしい)。