唐突に自分の話で申し訳ないが、私は昔からショートフィルムが大好きだ。
今はもうなくなってしまったが、横浜のみなとみらいにブリリア・ショートショートシアターという映画館があり、「恋愛」や「家族」など様々なテーマに合わせたショートフィルムが何本かセットで上映されていて、私は仕事帰りにその映画館によく通っていた。その当時働いていた職場から歩いて15分。仕事終わりの疲れた体に、ショートフィルムは丁度良かった。
集中力がなく無駄なものが嫌いな私にとって……
ショートフィルムの何がそんなに好きなのかと言うと、1本15分程度で無駄がない所だ。15分といえば、普通の2時間映画でいうと「こんな登場人物が出て来て、こんな場所でこんな問題に直面していますよ」という物語の導入程度の時間である。
ショートフィルムはそれと同じ時間で、笑わせたり、泣かせたり、人の感情を動かそうとしてくる。わずらわしい登場人物の紹介などはなく、数秒たりとも無駄がない。そして、全てを描き切らないからこそ想像の余地があり、観終わった後に余韻が残る。
小説も短編の方が好きだし、ドラマも何シーズンも続いていると途中で見る気がなくなってしまうような、集中力がなく無駄なものが嫌いな私にとって、エンターテインメントにおける“時間”のウエイトはそれほど重い。
とても“普通”のグルメリポート番組ではない
導入が長くなってしまったが、そんな私が今回どうしても紹介したいのが、「ハイパーハードボイルドグルメリポート」という、1話40分程度のグルメリポート番組だ。2エピソード構成だったりするので、1エピソード30分以下となり1話がかなり短い。
普通のグルメリポート番組でいうとそれぐらいの時間で十分だが、ハイパーハードボイルドグルメリポートはとても“普通”のグルメリポート番組ではない。時には危険なギャング同士の紛争地帯へ、時にはシベリアの田舎にぽつんと存在しているカルト教団へ、ディレクターが一人でカメラを持って取材に行くというかなり危険なグルメリポート番組だ。まず、これが民放で許可が下り、制作されたことにびっくりする。