昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

ドイツの感染者数は17万人超「世界7番目に多いが……」

 5月10日現在で感染者数は世界で7番目に多く、17万人を超えているドイツだが、新型コロナウイルスの大流行の「初期段階」は越えたと判断して、これまでの行動制限や店舗などの営業制限などが、段階的にではあるが、緩和されることになった(特定地域で7日間、10万人あたり50人以上の感染者が新たに出れば、再び制限を設けるという)。

 スポーツに関する制限も緩和された。ただ、今なお、対人距離は1.5メートル以上確保しなければならず、競技者同士が接触することは基本的に禁じられている。

 そんななかで、プロサッカー選手たちは、試合中と練習中に限っては、ソーシャルディスタンス(やマスクの着用義務)などの社会的なルールを“遵守しないこと”を、特別に認められた状態にある。

リーグ再開に向けてトレーニングするバイエルン・ミュンヘンの選手たち(5月10日)。3密を避ける生活を送っているわれわれからするとドキリとする写真だ ©getty

 もちろん、今回の決定はドイツという国の方針(EUのリーダーとして、経済的、社会的な規範となりたいことなど)との関係も見え隠れする。

 例えば、普段のブンデスリーガは、多くのサッカーリーグと同じように有料放送でしか視聴できないのだが、再開後の最初の2週間は、土曜日の15時半から開催される5試合のリレー中継が無料で放送されることになった。この決定の背景にはドイツ政府の要請があったとされる。

 また、ドイツ最大の発行部数を誇る「ビルト」紙は「ブンデスリーガの新たなスタートはドイツの立場を示す大きなチャンスだ! そして、ブンデスリーガはスポーツリーグの最上位になる」と煽り気味に報じている。

 様々な思惑が絡んでいるとはいえ、世界で7番目に多くの感染者を出した国で、ヨーロッパの主要国の先陣を切ってリーグ再開にこぎつけられた要因は、大きくわけて3つある。

要因(1)「全選手×週2回」のPCR検査体制

 ドイツでは、早い段階から検査数を増やしていく政策をとってきた。だから、感染爆発がひとまず収まったと見られている現在、プロサッカー選手のためにPCR検査をある程度の規模で行なえる状況にある。

 4月22日の時点で、1週間あたり約82万件の検査が行なわれる体制が整えられていた。ブンデスリーガの1部と2部に所属する全選手と、試合や練習を続けるのに必要なスタッフ(監督やコーチを含む)全員が、週に2回ペースで受けても全検査の0.4%に満たない。感染爆発がひとまずは落ち着いている現状とあわせて、一般市民の今後の検査の機会を大きく奪う可能性は低いと考えられている。