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新型コロナ患者の診察は「通常の3倍手間がかかる」

──新型コロナウイルス感染症の患者さんを診察するのは、通常の患者さんに比べてどんなことが大変なのでしょうか。 

志賀 当科でも、先日新型コロナウイルス感染症を疑う症例の患者さんがいらっしゃいました。レッドゾーンとグリーンゾーンを分けるのはもちろんのこと、手袋を2枚装着し、診察が終わって脱ぐときも、1枚目の手袋を外して手指消毒、2枚目を外して消毒、ガウンを脱いで消毒など、非常に手間がかかります。 

 陽性患者さんを担当している看護師さんが、体位交換や配膳などをするのは非常に大変なのだろうと思います。呼吸器科の医師とも話したのですが、通常の患者さんと比べて、3倍くらい手間がかかるのではないか、と思います。 

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写真はイメージです ©iStock.com

今後の課題は院内感染 

──国内の病院では、院内感染が相次いでいます。「なぜ医療従事者はプロなのに院内感染が防げないの?」と、一般の方から疑問の声があがることがありますが。 

志賀 そうですね。今のところ、当院では院内感染は発生していません。でも、現在は、市中感染で誰が感染しているのかわからない状態ですから、院内感染を完全に防ぐのは非常に難しいです。

 院内感染は、感染が疑わしい患者さんに対する対応がずさんで起こっているケースは決して多くはなく、全く疑われずに入院していた患者さんが発症して広がっているケースがほとんどです。現場からしてみれば、「まさかこの患者さんが感染していたとは」という方から広がる。こういったことは今後続くと思われます。 

──どうしたら院内感染を予防できるのでしょうか。 

志賀 方法は2つしかありません。ひとつは、患者さんになるべくマスクをしてもらう、医療従事者もマスクをすることです。院内感染があっても、濃厚接触者に当てはまる人を可能な限り少なくすることが重要です(濃厚接触の定義は4月20日に変更され、検査で新型コロナウイルス感染症と診断された患者と、診断後や発症の2日前から、マスクをしないで1メートル以内の距離で15分以上話した場合となっている)。 

写真はイメージです ©iStock.com

 マスクは、会話などの時に、片方だけしていても濃厚接触になる場合があります。感染者がマスクをせずに、マスクをした相手と話す場合、目に飛沫がとぶと考えられるからです。話しているときに、マスクをとってしまう患者さんもいますので、完全に防ぐことは、簡単そうで難しいです。 

 あと一つは、疑わしい患者さんには可能な限りPCR検査をすることです。今は、感染が市中に蔓延している状態です。1月や2月は、国内にはほとんど感染者がいない状態でしたから、そういった時期に多くPCR検査をしても、リソースの無駄遣いでしたが、今は感染が蔓延してきているので、疑わしい人にはできるだけやるべきと思います。ただ、無症状の人にやるのはよくないと思います。 

──職員同士の感染を防ぐ上で苦労していることはありますか。 

志賀 こんなに大規模な感染症の蔓延が起こったのははじめての経験なので、多くの職員にとっては、骨の髄までコロナウイルス感染症の対応をしみこませるのはすぐにできることではありません。たとえば、マスクを触らないように職員には指導していますが、完全に触らないでいるのは、非常に難しいのです。ただ、ユニバーサルマスク(全員がマスクをする)を徹底することは頑張ればできることだと思います。