1ページ目から読む
4/4ページ目

親よりも子供や自分を最優先に

――親が毒親な人に呼びかけたいことはある?

干渉やコントロールしてくる毒親が嫌な場合には、心理的・物理的な距離で境界線を引き、ご自身と家族を守る必要があります。親の支配下にいる限り、本来は子供に注ぐべきエネルギーを親に吸い取られてしまい、家族に害が及ぶからです。

親に罪悪感を感じて、距離をとれない人も多いですが、この罪悪感の正体は「親に嫌われるのが怖い」、つまり親が怖いから動けないのです。衣食住を提供してもらい、教育費を出してもらったことには感謝する。ただ、もう親を怖がる必要はないのですから、これ以上、自分が傷つかないよう、人生を支配されないよう、自分と家族を優先しよう。と決める必要があります。

毒親は常に交感神経が高ぶっていて過剰に警戒しているような状態なので、口で何を言おうと自分を守ることが最優先事項です。親にエネルギーを奪い取られないよう、子供が1番、自分と配偶者が2番、親は3番という優先順位で、物事の選択・決断をしていただければと思います。


――この場を借りて、伝えたいことはある?

これまで3000人を超える毒親育ち、子供で悩む毒親とお会いしてきましたが、時代の急激な変化に人々の価値観の変化が追いついていないことを痛感しています。「妻は夫に従い、子は親に従う」という価値観をひきずる世代は、子供にもその考えを刷り込みます。

そのため、職業選択や結婚相手、どこに住むかも、個人の自由だと憲法で定められているにもかかわらず、すべて親にお伺いをたてて、安全志向の親に従って生きてきた。そんな人が今も山ほどいるのです。それが本人の価値観と合わない場合、生きづらさが強まってきて、何かおかしいと気付いて親の問題にたどりつく。そういう人が多いのです。

毒親で悩む人は本来、自由志向なのだと思います。ぜひ、勇気を出して親の価値観に造反する。そんな“遅れてきた反抗期”で親の鳥カゴから脱出し、自由に羽ばたいてほしいと願います。
 

毒親は自分が毒親だと気付きにくいもの。自身の行動や言動を振り返ってみよう(画像はイメージ)

子供のことで不安や悩みを抱えるのは、親としてはむしろ当然かもしれない。だが、その感情のままに接すると、子供に圧力や負担を与えてしまうこともある。高橋さんの場合は、子供の不登校で気付くことになったが、そうしたきっかけがない家庭も多いはずだ。

心当たりがある親世代は、自分が安心したいがために子供を追い詰めていないか、自身の行動や言動を振り返ってみてほしい。