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都心のタワマンは“過去の遺物”に……コロナショックで「不動産の価値」が激変する

「駅徒歩7分」を気にする住宅選びは終わる

2020/05/19
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半年後に控える不動産業界の“新たな火種”

 そして不動産の分野でこれから影響が顕在化するのが、オフィスと住宅である。商業施設やホテルは今回のコロナ禍の影響を直接被った業種であるが、実はオフィスや住宅はこれから半年後くらいに新たな火種になってきそうなのである。

 オフィスのテナントの多くは一般企業である。コロナ禍は全業種の業績に大きな影響を及ぼしているので、今後業績が悪化した企業から賃料の減額や借りている床の解約が発生することは容易に予測できる。

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 オフィス床を解約するには、通常は解約日の6か月前に通告しなければならない。したがって今回のコロナ禍の影響が数字として現れてくるのは、今年の秋以降になるだろう。また今年は新築ビルの竣工ラッシュが続くが、入居を予定していた企業の一部で賃借面積を縮小する、あるいは賃借条件を減額するなどの動きが出ることだろう。ここまでは景気悪化に伴ってかつても起こっていた事態だ。不動産会社側も当然、ある程度の覚悟をしているはずだ。

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「テレワーク、意外と良いかも」の影響は?

 ところが今回のコロナ禍はどうもそれだけでは収まりそうにない。オフィスで働くのはその多くが、サラリーマンと呼ばれる事務系ワーカーの人たちだ。彼らはコロナ以前において毎朝毎夕、クソ混みの通勤電車に乗って真面目にオフィスにやってきていた。ところが、コロナ禍が続く中で求められたのがテレワークである。

 初めのうちは経営者や従業員からもテレワークでは仕事がはかどらないとか、社員の仕事ぶりをチェックできない、会議がちゃんとできないなど不安視する声が上がったが、テレワークをやって数か月、実は多くの会社で「テレワークができちゃったし、意外と良いものだ」という認識が広まりつつある。

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 会社側もある程度の社員については別にオフィスに来なくても困らないことに気づきだしているし、従業員の側からみても通勤せずに家やその周囲で仕事ができるのならば大歓迎といった雰囲気が出てきている。

 テレワークは一時的な措置としてやむを得ずスタートした働き方だったのかもしれないが、結果として全国で“テレワークお試しキャンペーン”を行ったことにより、意外にもかなりの企業で、今後も採用していくことになりそうなのである。