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「ジャパゆきさん」の子供が半生を語る 彼女はいかにして輝かしい毎日を手に入れたのか

『ハーフの子供たち』より #2

2020/05/16
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「バンドって、1人でも欠けたらできない」

 フィリピンバンドを組み、ボーカルを務めたことがあった。

 そこでフィリピン人の特性に直面する。

「バンドって、1人でも欠けたらできないんですよね。みんなライブハウスで仕事してるじゃないですか。ギター、ベース、ドラムがいて、1人でも来ないと、その日、そこで演奏できないじゃないですか。お客さんに見せられないじゃないですか。でも余裕で来ないです」

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※写真はイメージです ©iStock.com

「余裕で来ないんですか。何やってるんですか、来なくて」

「何もしないです。何の事情があるかはわかんないですけど。みんな仕事しに来てるのに、個人的な理由で来ないって、一番頭に来ますね。でも日本人とかアメリカ人とかだと、最低でも1週間前、“ごめん、来週ちょっと忙しくて行けないんだけど、だれか代わりいないかな”とか言ってくれるんです。フィリピンの人って言うにしても、“ごめん、今日行けない”みたいなことよくあります。だから、仕事するんだったら、フィリピンの人とやりたくないです。

 フィリピンのライブハウスで仕事して学んだことは、みんな、仕事はいいかげん。仕事するんだったら日本ですね。みんなプロ意識があるから。フィリピンのバンドの人にお願いすると、まずお金。名誉よりもお金。でも日本人だと、これは自分のプラスになるってなると、“じゃあ、今日はお金はいい”ってなる。フィリピンの人だと、“え、お金が出ないんだったら、ちょっと”っていうのがあります。せっかく才能があるのに、面倒くさがる、ルーズな性格がそこで出ちゃう」

 現在、レインは様々な血を持つ4人のメンバーたちとバンドを組んでいる。

「ギターがドイツと日本のハーフ。キーボードがペルーと日本のハーフ。ベースが日本人なんですけど、アメリカンスクール行っていた。ドラムも日本人。わたしがフィリピンと日本のハーフ。みんな、ちょっとどこか個性的です。バラバラのジャンルの人たちだけど、ひとつのいいリズムに、いい音楽になればいいかなっていう想いを込めて『RYSM』っていうんです。メンバー全員の頭文字をとってつけた名前ですね」