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直面する諸課題(教育編)

では、諸課題を分野ごとに見ていこう。まず教育全般に関する点。

・教職員・学校施設・入試

移行期における児童生徒学生数(4月~8月生まれ。約40万人)の増加に対して、教職員やそれに必要な財源の確保が求められてくる。
また、教職員やスクールカウンセラーが教育年度途中で定年退職や任期切れになるパターンもある。そうなれば学校運営への支障が懸念される。

また、子どもたちが日々学ぶ学校施設への影響も課題のひとつだろう。
移行期での児童生徒数の増加に対応するため、教室不足が発生する事態も考えられる。これを改善しようとすれば、校舎の増改築などの措置が必要になってくる。当然、予算などの面で国の支援が望まれる。

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卒業の時期が変われば、入試の時期も変わる。高校入試や大学入学共通テスト、各大学の個別入試などについて実施時期の移行が必要だ。とくに、夏の入試となれば、試験会場での熱中症対策にも支援が必要だろう。そもそも、それまでに新型コロナウイルスの事態が収束しているとは限らない。万全の感染症対策が求められる。

 

・同級生が先輩・後輩?

来年4月から8月までに満6歳となった児童が、来年9月には小学校に入学することになる。そうなるとどうなるか。生まれ月の早い遅いで、幼稚園や保育園のクラスの半分が予定より早く卒園・入学となる。早い話が、これまで同級生だった子ども同士が先輩・後輩の関係になるということだ。児童や保護者の間で、不公平感が広がることが危惧される部分だろう。

仮に、1年で「9月入学」に移行すると考えると、来年は、9月1日に、2014年4月2日生まれから2015年4月1日生まれまでの「年長さん」(約100万人)と、学年が5か月分延びているので、2015年4月2日~9月1日生まれまでの「年中さん」の一部(約42万人)が入学することになる。つまり年中さんの一部は「飛び級」してしまう。後述するが、人によっては7ヶ月早く入学することになるので、ここにも問題がある。