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検討中の「9月入学」はいつから?教育・社会面などの課題を総点検

source : 提携メディア

genre : ニュース, 社会, 政治, 教育

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・子どもの年齢の幅の問題

2021年9月に17ヶ月分の児童が小学校に入学する場合、1学年の間で17か月という発達段階の大きな差が出てくる。さらに、2021年4月から8月までに満6歳になり小学校に入学する児童は、幼稚園などで就学前の教育を受けた期間が短く、場合によっては、学校での指導が難しくなる恐れがある。

学習指導要領は、発達段階を踏まえた学習内容を盛り込んでいるが、年齢が遅れる場合、必要に応じて、児童生徒の発達段階にあわせて、指導計画の変更が必要になることもありえる。

 

・各種国家試験

養成施設としての学校の卒業時期が変更になることで、各種国家試験について、実施時期の移行を検討しなければならない。医師、歯科医、獣医師、薬剤師、公認会計士、等々数多くの国家試験について、所管する各省庁で調整が必要になってくる。

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・指導計画の変更

今年度の在校生については、学年期間の延長で先生たちが指導計画を大幅に組みなおさないといけない可能性もある

・入試の激化

移行期の学生は小学校入学から大学卒業まで、同学年の人数がほかの学年に比べて、人数が多い状況が継続する。高校入試、大学入試、就職、各段階で、競争が激化する事態にもなりかねない。

 

・グローバルスタンダード?

9月入学論のメリットとしてよく言われるグローバルスタンダードだが、実は、単に9月に入学するというだけではグローバルスタンダードでもなんでもない。現行の学年を5か月延長する方式で9月入学を導入すると、世界的に見ても極めて年齢の高い入学生となる7歳5ヶ月で小学校に入学する子どもが出てくる

参考までに、海外の小学校段階が開始する年齢を見ると、アメリカは6歳(州によっては5歳)、イギリスは5歳、フランスは、小学校段階開始は6歳だが、入学年度に3歳に達する子どもが義務教育の対象であり、小学校開始時に5歳の子どももいる。ドイツは6歳(州によって開始時に5歳もいる)。

直面する諸課題(社会生活編)