ウイカは納得がいかないとしっかり意見を伝えてくれた
6人のメンバーの中でも「一番多く異議を唱えてきたのはウイカだった」と渡辺氏は語る。
「当時は僕も尖っていて突拍子もないことばかりやっていました。そのたびに、『こんなの、あんまりだ!』とウイカに意見されることも多くありました。ウイカは納得がいかないと、現場でも『ここはどうなってるんですか?』『これってどういう意味があるんですか?』とか、しっかり意見を伝えてくれた。それは聞き分けが悪いとかではなく、理由をちゃんと説明してほしかったのだと思います。
例えば、別のメンバーが熱海から南青山まで2日間かけて100キロマラソンをする企画があり、僕が『ほかのメンバーも一緒に走ろう』と声をかけたらウイカが、『ちょっといいですか』みたいな感じで不満げに声をかけてきた。
楽屋で2人きりになったら、巻き舌で『彼女だけが走ればいいのに、なんで私たちまで走らなきゃいけないんですか!』と大激怒していました。僕が『BiSが売れるようにみんなも頑張って走っているところを見せようよ』と30分くらい意見をぶつけ合い説得して、なんとか納得してもらいました。彼女はすでに解散後の進路を自分で考えていて、一丸となって解散に向かってるんですけど、どこかバラバラみたいな感じでしたね」(同前)
解散ライブ1週間前の対立
メンバーたちの月給は15万円。全国ツアーではホテル代、食事代なしの車中泊。苦楽を共にする関係だったが、解散ライブ1週間前にも渡辺氏はウイカらメンバーと対立。思わぬ反撃に遭う。
「最前列で解散ライブが観られる高額チケットの特典で、メンバーが手紙を書くことになっていたんです。毎日のように全国を回ってライブやっていて、ウイカが忙しかったのを理由に期日までに手紙を書いていなかったんです。僕もイライラしていて、それに腹が立ってしまい、『ふざけんな!』って今までにないくらいブチギレてしまった。
そうしたら、その後に僕の私物が入ったカバンが無くなりました。必死に探しても見つからなくて、1時間経ってようやく楽屋のソファーの裏に隠されていたのを見つけました。どうやらウイカが隠したようで、彼女なりの抵抗だったと思うのですが、この不穏な空気のままでいって『解散ライブをボイコットする』なんて言われたら困ると思ったので、僕が『言い過ぎた』とウイカたちに謝りました(笑)」(同前)