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夏ドラマの一部作品は来年以降に延期か

 一方で、春ドラマの放送スケジュールが延びることに伴って、局によっては、夏ドラマの一部作品を来年以降に延期することを検討しているという。

「7月から放送スタートを予定している『ドラゴン桜2』(TBS系)は来年に放送を延期する可能性がある。というのも、4月期の『半沢直樹』と制作陣が一部被っていて、スケジュール的に調整が厳しくなっているんです」(前出の在京キー局関係者・A)

 他局でも、来年以降に放送を延期することで調整に入っている作品があるという。

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『ドラゴン桜』(2005年)の続編となる『ドラゴン桜2』は、7月からの放送開始が予告されている

「コロナ対策ガイドライン」が生んだ2つの問題

 撮影再開に向けて動き出しているという一部の春ドラマ。しかしその問題は山積みだ。別の在京キー局関係者・Bは「感染対策に苦心している」とその苦労を明かした。

「緊急事態宣言が明けて撮影を再開したとしても、感染防止策は徹底しなければならない。この休止期間では、そのためのガイドラインを作っていました。例えば、スタッフは最少人数にして、ドライ(ドラマ撮影におけるリハーサル)の時でも役者に接近する人を減らします。あとは基本的なことですが、検温・マスク着用・消毒の徹底ですね。ただ役者の皆さんはマスクだと化粧が落ちてしまうので、フェイスシールドで対応してもらうことになっています」

 他にも、3密になりやすいロケバスは台数を増やすことで人口密度を減らしたり、感染症対策の専門家にロケ撮影に同行してもらうことなども考えているという。ただこうした対策によって、2つの問題が生まれている。

「撮影スタッフの人数を減らしても、体調不良の人が出た場合のためのフォロー要員は常に確保する必要があります。ロケバスを増やすのにも当然お金がかかってくる。そういった対策を万全にすればするほど、制作費は膨らんでいきます。

 あとはスケジュールですね。人数を減らせば一度にできる仕事の量は減ります」

©iStock.com

 制作費とスケジュール調整が特に難しいというが、ただでさえ時間がない中でさらに、ドラマ撮影ならではの“あること”が禁止されてしまったのが痛手になっている。

「今度のガイドラインで“移動めし”が禁止になってしまった。これが結構痛い。ここで時間を節約して撮影時間を捻出することが多いんです……」(前出の在京キー局関係者・B)